秋 萩原朔太郎

 今日は、萩原朔太郎の「秋」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは萩原朔太郎の一篇の詩です。草木と野分という言葉が印象に残ったのですが、与謝野晶子訳の源氏物語「野分」にはこのような一文があります。
quomark03 - 秋 萩原朔太郎
  今年の野分のわきの風は例年よりも強い勢いで空の色も変わるほどに吹き出した。草花のしおれるのを見てはそれほど自然に対する愛のあるのでもない浅はかな人さえも心が痛むのであるから、まして露の吹き散らされて無惨むざんに乱れていく秋草を御覧になる宮は御病気にもおなりにならぬかと思われるほどの御心配をあそばされた。おおうばかりのそでというものは春の桜によりも実際は秋空の前に必要なものかと思われた。日が暮れてゆくにしたがってしいたげられる草木の影は見えずに、風の音ばかりのつのってくるのも恐ろしかったが、格子なども皆おろしてしまったので宮はただ草の花を哀れにお思いになるよりほかしかたもおありにならなかった。quomark end - 秋 萩原朔太郎
 
 読み比べてみると、萩原朔太郎の風景描写の柔らかな表現が際立つように思いました。
 

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泥葬 竹内浩三

 今日は、竹内浩三の「泥葬」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 おおよそ百年くらい前のなんということもない詩を読んでみたんですけど、そこで都市の名前が出てくるんです。新宿や池袋の名前が記されています。新宿……というと都庁や歌舞伎町をイメージするんですけれども、そういうものがない新宿のことを書いている。都庁も歌舞伎町も無い新宿はイメージしにくい。昔は道ばたに腐ったものやゴミが散乱していたのかもしれなくて、泥という言葉ひとつとっても、その内側の意味がちがってしまっているのかもしれない、と思いました。無名の詩には変に現実的な描写があったりして、妙な感じがおもしろかったです。自然界の描写が二行だけ記されているんですけれども、そこだけ泥中の蓮……のような描写になっていました。
 

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酔へ! ボードレール

 今日は、ボードレールの「酔へ!」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回は富永太郎が翻訳した、ボードレールの短い詩を読んでみました。これすごい詩なんですよ。本文こうです。
quomark03 - 酔へ! ボードレール
  すべての廻転するものにでも、すべての歌ふものにでも、すべての話すものにでも、今は何時だときいてみたまへ。(略)『時』に虐げられる奴隷になりたくないなら、絶え間なくお酔ひなさい! 酒でも、詩でも、道徳でも、何でもおすきなものでquomark end - 酔へ! ボードレール
 
 最近、YouTubeで海外のミュージッククリップを聞いてまわることがマイブームとして再燃しているんです。はじめは音を楽しんでいただけなんですけれど、それで、いったい彼らは何を歌っているのか、ちょっと知ってみたいと思って、和訳も調べつつ、これまで黒人がブルースやラップで何を歌ってきたのかというのを、歌の和訳サイトで、いろいろ見てまわりました。人気のあるものから順番に聴いていったのですが、音楽を聴いただけでも、Black Lives Matterという言葉がつい数カ月前に生みだされたわけでは無く、長い時間をかけて求められてきたことが理解できるように思いました。
 
Public Enemy – Fight The Power 和訳はコチラ
Childish Gambino – This Is America 和訳はコチラ
Travis Scott – SICKO MODE ft. Drake 和訳はコチラ
Lupe Fiasco & Guy Sebastian – Battle Scars 和訳はコチラ
Alicia Keys – Underdog 和訳はコチラ
 
ブルースの和訳サイトもいくつかリンクを紹介します。
【和訳】B. B. King – Everyday I have the blues
【和訳】B.B. King – How Blue Can You Get
【和訳】Howlin’ Wolf – Killing Floor
【和訳】Robert Johnson – Cross Road Blues
【和訳】John Bundrick – Muddy Water
【和訳】T-Bone Walker – Stormy Monday
 
 Black Lives Matterにかんする詳しい内容は、こちらのwikipediaや、wiredの最新記事や、映画と黒人文化に関する記事、が理解しやすかったです。
 今回はボードレールの詩を読みながら、ブラックミュージックをいろいろ聴いてみました。パブリック・エナミーの”Don’t Believe The Hype!”というのが印象に残りました。
 ボードレールはフランスの詩人で、のちの世の人からブラック・ヴィーナスとも呼ばれたジャンヌ・デュヴァルと恋愛し十年以上ともに暮らしたのだそうです。詩に酔いたまえ、というボードレールの言葉が印象に残りました。全文は以下から読んでみてください。すてきな詩なんです。
 

yoe line - 酔へ! ボードレール

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〈あめがふつてくりや〉 村山籌子

 今日は、村山籌子の「あめがふつてくりや」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは幼子のための、オノマトペではないのですが言葉の音色のみを楽しむ、そういう詩のようです。絵本にしたらイメージが広がりそうな詩でした。

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わたしの正月 中野鈴子

 今日は、中野鈴子の「わたしの正月」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 中野鈴子という詩人の作品を僕は今回はじめて読んだのですが、中野重治のじつの妹さんなんだそうです。なんだか、ビックリして読みました。すごい直接的な詩作品なんです。中野重治の兄妹だ、とわかる感じの詩なんです。「年ぐ米」と書いているので、かなり昔の農民のことを描いている詩です。ちょっと調べてみると、wikipediaには「年貢」のページに「敗戦後、地租は固定資産税という名称に代わり現代でも事実上年貢にあたる税はある。」と書いていて面白かったです。日本に住んでいたらみんな消費税という年貢を支払っている、とも言えるかもしれないです。
 出版は一九三二年の十五年戦争の初期の頃のものなので「ひっくりかえしたい」というような一部の言葉が「xxxxかえしたい」という伏せ字になっています。「みんなの胸たたいて」という詩の一節が印象に残りました。
 

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山の歓喜 河井酔茗

 今日は、河井酔茗の「山の歓喜」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 もうこの読書サイトに繰り返し同じことを書いてしまったんですけど、近代文学の魅力は、自然界の描写が色濃く、そこがおもしろいのだ、と思うのですけど、今日の詩は、現代語で書かれたアニミズムみたいで楽しかったです。

0000 - 山の歓喜 河井酔茗

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