学問のすすめ(7)福沢諭吉

 今日は、福沢諭吉の「学問のすすめ」その7を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回も福沢諭吉は国家論を述べるのですが、不思議なことを主張していました。誰もが一人で二役をこなしなさいと言うんです。
 経営者であるような認識と、世界に入りこんだ客であるような認識。
 福沢諭吉は、順法を旨としながら盛んな経営をするように勧めます。影で不正をしないような考え方を伝えるんです。会社の経営者でありながら客でもある、と考えた場合は、たしかに会社内で不正をしにくいように思います。客の視点で見るとこういうズルはできるけど、同時に社長の視点で見るとそのズルは経営を悪化させる、と分かるわけで、逆に汚いダンゴを売りさばいてたくさん儲けようとしたら客の視点で「それはまずい」となります。福沢諭吉が今回述べている「客と経営者の両方になりなさい」というのはすてきな考え方に思いました。
 政府の考えは自分の考えとまったく違うわけですが、とにかくいったん政府の命じる禁止事項に従う。そののちに政府に問題点を説明すべきだ、と記しています。
 貴賤上下の区別無く「ある程度の文化的な生活」をもたらして、生存権などの権利を国家は保障しないといけない、脱税や着服などの不公平もあってはならない。と、福沢諭吉は、大金が損失しかねない政府の行政上の失態や不正を許してはならないと説きます。
 今回も、政府を怖れて盲従してはいけない、集団的に抵抗せよ、というように説いていました。それから、ガンジーの述べる非暴力不服従とも通底した生きかたで、国の不正を改めさせるという考えについても記していました。
  

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シグナルとシグナレス 宮沢賢治

 今日は、宮沢賢治の「シグナルとシグナレス」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは宮沢賢治の童話で、花巻鉄道の信号機であるシグナルとシグナレスの物語です。
 

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追記  2人の会話がすてきで、終盤では、霧で世界がおおわれて、お互いの顔が見えなくなります。2人は夜明けを待ち、再び出逢えるように、祈りをささげるのでした。この一文が印象に残りました。「星はしずかにめぐって行きました。そこであの赤眼あかめのさそりが、せわしくまたたいて東から出て来、そしてサンタマリヤのお月さまが慈愛じあいにみちたとうと黄金きんのまなざしに、じっと二人を見ながら、西のまっくろの山におはいりになった時、シグナル、シグナレスの二人は、祈りにつかれてもうねむっていました。」さいごは二人の願いが叶って二人きりの美しい世界に至るんですが、それはどうも、地球ではなくって美しい銀河の中で、お互いに見つめあっているのでした。ふと気がつくと夢が覚めて「二人はまたほっと小さな息いきをしました。」という言葉で締めくくられる、清らかな童話でした。

機会 宮沢賢治

 今日は、宮沢賢治の「機会」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはほんの一頁の詩なんです。賢治といえば自然界や銀河を描いた詩が多いと思うんですが、こんかいは相聞の詩で、ちょっと珍しい作品に思います。
 むつかしい言葉を調べてみました。
 愛憐
 

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小岩井農場 宮沢賢治

 今日は、宮沢賢治の「小岩井農場」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 明けましておめでとうございます。今年も近代文学を読みすすめてみて、百年前の文学世界を巡ってみたいと思います。
 賢治は農村の美しさや、風景や、鳥のありさまを克明に描きます。空を見上げる「白い笠の農夫」が現れた中盤のあたりから、幻想的な世界が記されますが、そのあとは再び写実的な農村が克明に描かれるのでした。後半から、主人公である「わたくし」と汽車を待つ男の2人は、オオジシギ(ぶどしぎ)という鳥について少し語りあいます。
 
 終盤には「銀河鉄道の夜」をも越えるような幻想的な世界「der heilige Punkt」つまり「聖なる点」の聖いこころもちをひらく地点が描きだされるのでした。「春と修羅」の「序」に描かれる「因果交流電燈の/ひとつの青い照明」と「銀河鉄道の夜」を結節するむすびめとしての詩として「小岩井農場」を読めるのでは、と思いました。
 「トツパースの雨の高みから/けらを着た女の子がふたりくる/シベリヤ風に赤いきれをかぶり/まつすぐにいそいでやつてくる」この前後の詩が美しい描写でした。
 

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★  春と修羅の全文はこちら 
 

 
  
追記   能登半島の震災で被害に逢われた方々に、謹んでお見舞い申し上げます。Yahoo!ネット募金にて、少額の寄付をしました……。
 

旅の旅の旅 正岡子規

 今日は、正岡子規の「旅の旅の旅」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは正岡子規の紀行文で、旅に詠んだ四十一首の俳句が記されています。
「旅の旅その又旅の秋の風」の句から始まり「木のうろに隠れうせけりけらつゝき」で終わる、羇旅の句があまたに記されます。侘しいところや当て所ないところを描く句がいくつかありました。
 正岡子規の親友といえば漱石で、漱石は作家になる前後にこの本を、暗記するくらい読んだはずなんです。そう思って読むと、『三四郎』『草枕』の、印象深い漱石の文章は、この子規の「旅の旅の旅」を想起しつつ書いたところがあるように思えました。
 

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森の暗き夜 小川未明

 今日は、小川未明の「森の暗き夜」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 深い森の中の小さな小屋に住む一人の女が描写されます。5章までは、謎めいた森のことが描かれ、7章からは、森の女の過去が回想とともに描きだされます。暗い森の中になぜ一人で生きているのか。小川未明はこんかい、闇の怪談を描くのでした。
 

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