坊っちゃん 夏目漱石

 今日は、夏目漱石の「坊っちゃん」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは分かりやすい小説なんですけど、きよというおばあさんが、母親のように主人公の面倒をみてくれるのが印象深いんです。漱石は子どもの頃に、血の繋がっていない父母に育てられたんですけど、その影響があるのか、他人を肉親のように扱ったり、肉親を他人のように捉えたりする、そういう個性的な人物像が繰り返し描かれるのかもしれないと思いました。当時はそれほど奇妙な家庭環境では無かったようですけど。
 作中に、登場人物たちをこのように解説しているページがありました。ここさえ読めば、どういう人たちがなにをしているのかは分かると思います。本文こうです。
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  山嵐のようにおれが居なくっちゃ日本が困るだろうと云うような面を肩の上へ載せてる奴もいる。そうかと思うと、赤シャツのようにコスメチックと色男の問屋をもって自ら任じているのもある。教育が生きてフロックコートを着ればおれになるんだと云わぬばかりの狸もいる。皆々それ相応に威張ってるんだが、このうらなり先生のように在れどもなきがごとく、人質に取られた人形のように大人しくしているのは見た事がない。顔はふくれているが、こんな結構な男を捨てて赤シャツに靡くなんて、マドンナもよっぼど気の知れないおきゃんだ。赤シャツが何ダース寄ったって、これほど立派な旦那様が出来るもんか。quomark end - 坊っちゃん 夏目漱石
 
 山嵐以上に無鉄砲なのが、主人公なんです。あと、お金のやりとりがなぜだかおもしろかったんです。竹を割ったような性格の主人公が、こういうお金は要らないとか、きよおばあさんからもらったお金のこととか、なんともこう、お金の扱いがかっこ良いんです。漱石は新聞社から給料をもらっていたのに、新聞社がやる間違った考え方について批判的に描写するところとか、そういうところも凄かったです。
 

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0円オーディオブック

audiobooks01 1 - 0円オーディオブック

 「明かりの本」はじつは、Google Chromeの拡張機能を使ってオーディオブックとしても使えるんです。こちらから、詳細を読んでみてください。小説や随筆を縦書きで読みすすめながら、同時に耳で聞いてゆくことが出来るんです。0円のオーディオブックとして使えます。読み上げ速度や音程を調節して、お好みの音声で、小説や随筆をお楽しみください。
 奇妙な声で読み上げてくれるので、詩集や、美しい文体の短編には、あまりオススメ出来ません。
 
 オーディオブックとして聞くのにおすすめの作品ベスト3は、コレです。
 【No3】日本文化私観 坂口安吾
 坂口安吾の随筆は、深い内容を、やさしい言葉で書いているので、とても聞きやすかったです。

0000 - 0円オーディオブック

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 【No2】痴人の愛 谷崎潤一郎
 平易で聞きやすい日本語なので、聞きながら読んでゆくのに最適です。

0000 - 0円オーディオブック

 
 【No1】三四郎 夏目漱石
 人工知能の、間の抜けた声で聞くのに、もっとも相応しい近代文学だと思います。オーディオブックは、長時間かけてのんびり聞いてゆくのがオススメです。Netflixでプリズンブレイクを見てゆくような感じで、明かりの本のオーディオブックをお楽しみください。

0000 - 0円オーディオブック

0円のオーディオブックを使う方法は、こちらをご覧ください。PCやiPhoneやタブレットで、オーディオブックを使えます。完全に0円です。

晶子詩篇全集拾遺(29)

 今日は、与謝野晶子の「晶子詩篇全集拾遺」その(29)を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 この作品の題名は「詩篇全集拾遺」となっていて、宇治拾遺と同じ、拾遺という言葉が使われているのですけれども、この一連の薔薇の詩はまさに、拾遺のイメージに相応しいものだなと思いました。
 

0000 - 晶子詩篇全集拾遺(29)

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子どものすきな神さま 新美南吉

 今日は、新美南吉の「子どものすきな神さま」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 幼い頃によくイメージしてきたはずの「神さま」というのが、大人になると消え去ってしまって、むかしイメージしていたものがあとかたもなくどこかに消失してしまったように思っていたのですが、童話の世界にはちゃんと、子どもがとらえた世界が残っているように思いました。
 

0000 - 子どものすきな神さま 新美南吉

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晶子詩篇全集拾遺(28)

 今日は、与謝野晶子の「晶子詩篇全集拾遺」その(28)を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回は、薔薇の詩です。近代文学の魅力は、自然界への思い入れが現代よりも強いところだと思います。傘の描写が印象的な詩でした。
 
 むつかしい言葉を調べてみました。
 咽ぶ
 

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鳥 横光利一

 今日は、横光利一の「鳥」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはいろいろ奇妙な小説なんです。まず改行処理とかが無いのがよくわからないです。ストーリーとしては、漱石がよく書いた、男女の三角関係を描いているんですけど、なんだか関係性のねじれがすごいんです。
 近代文学の魅力は、未成熟な社会とぶつかって原始的な問題で悩んでいる登場人物たちが描きだされる、そこにヒントや気づきがある、というところがあると思うんですけど……どうも今この2020年の4月に読むと、いまの社会の方が、もっと厳しいんじゃないかとか、普段と逆の感想になるんです。作中に描かれているような、嫉妬とか他者との関係に悩むというのは、けっこうぜいたくな話しなんだなとか、思いました。 
 人間関係がねじれ続けて、三回転くらいして意味不明になっている、その描写がおもしろかったです。本文こうです。
quomark03 - 鳥 横光利一
  Qが陰でひそかに私の悪口をいったことが、今は私に彼への尊敬の念を増さしめるだけとなった。quomark end - 鳥 横光利一
 
 ふつう悪口を言われたらキライになるのに、これが一八〇度転倒して……どんどん意味不明な感情が描かれるようになる。このあとの終盤の展開がおもしろかったです。
 

0000 - 鳥 横光利一

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