入浴 片山廣子

 今日は、片山廣子の「入浴」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 戦争中と戦後すぐの、銭湯について記しているんですけれども、今のコロナ時代に読むとなんだか意図と違うところで感心するところがありました。戦争の時代は風呂に入ることもままならなかったし、衛生環境の悪化で病死した人はとても多かったのだろうと思いました。それが、戦争が終わって自由になったら、意外と思ってもみなかった奇妙な不都合が起きる。それはごく些細なことなんですけど、一人一人の考え方に変化が起きている。ずいぶん微細な変化を記すものだ……と思いました。
 

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晶子詩篇全集拾遺(39)

 今日は、与謝野晶子の「晶子詩篇全集拾遺」その(39)を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回の作品はアンリ・ルソーの絵画『眠るジプシー女』を彷彿とさせる詩で、与謝野晶子がこの絵画を見られる可能性は、当時どのくらいあったのだろうか……と思いました。与謝野晶子の生きた時代は1900年前後で、かなり長生きで1940年初頭まで生きたのですから、ちょうどアンリ・ルソーの画業の晩期のころの時代なんです。晶子は西洋を描いた詩歌がおおく、シベリア鉄道に乗って渡仏しているで、フランスのルソーの画集を手に取る可能性は高かった。いつごろ、どういうふうにルソーを見たのだろうかと思いました。海外への旅の思いを愛でる「太陽の船出」という詩も美しかったです。
 

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春 横瀬夜雨

 今日は、横瀬夜雨の「春」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 現代人よりも近代人のほうが自然界に詳しいわけで、田舎の風物を描いたこの随筆がおもしろかったです。
 横瀬夜雨の柳の芽の表現が印象に残りました。これは俳句の季語にもなっている、春を代表する存在なんです。
 作中のいろんな言葉を検索すると、写真や地図と同時に読んでゆけるので、なんだかおもしろかったです。あと、泥だらけで食べられないはずのタニシ、このタニシの料理について書いていたのですが、調べてみると中国には「螺蛳粉Luosifen」というタニシを使ったスープ料理があって現代人にも人気なのだそうです。
 

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緑衣の女 松本泰

 今日は、松本泰の「緑衣の女」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは推理小説というか探偵小説で、イギリスに長らく滞在していて一文無しになった主人公泉原いずみはらと探偵のギルが、数年前に泉原の恋人だったグヰンの謎を追う物語なんです。(グヰンは、グインまたはグウィンと読みます)
 泉原は、はじめから一貫して、グィンのことをずっと考えていて、そこに物語としての魅力を感じました。
 

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論語物語(9) 下村湖人

 今日は、下村湖人の「論語物語」その9を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 お金に無頓着な人は無欲なものだと思いがちですけど、金や権力を求めない人でも、欲がきつすぎてまずい、ということはあるのだ、という孔子の指摘がおもしろかったです。我欲に打ち克つ力があってはじめて剛健な男になれる……ちょっとぼくの要約がおかしいので本文を読まないと孔子の考察のすごさが伝わらないかと思うんですけど、論語は長く読みつがれている本なだけあって……身内に対する批評精神がするどく、批評ってこういうことを言うんだなと納得するんです。そこが最大の魅力なんだと思います。
 

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★『論語物語』をはじめから最後まですべて読む(※大容量で重いです)
『論語』はこちら(※論語の原文に近い日本語訳です)

緑の芽 佐左木俊郎

 今日は、佐左木俊郎の「緑の芽」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 農民文学というとまず、宮沢賢治の「農民芸術概論綱要」が思いうかぶんですけど、近代文学の中では、佐左木俊郎がまたそれらとは異なる、農民の生き方を直接的に描きだす小説を数多く描いているんです。じっさい農民の生きざまを直接的に描いた作家と言えば、佐左木俊郎がいちばん有名なんだと思います。
 農民、と言っても現代の機械を上手く使いこなす大規模農園とはまるで違っていて、ぜんぶ手作業で仕事をするしかない、機械を持たない時代の農業の物語で……つまり千年間以上、過去に何億人という日本人が(世界中の人が)こうやってほんとうに生きてきたわけで、読んでいてつねに「うわあ」と声をあげてその過酷な生き方を垣間見てゆきました。数百年前とかだったら機械が無かったわけで、テレビも無ければ、巨大輪転機も輸送トラックも無いから紙の本もふつうの人は手に取れないし、図書館も本屋も無い。ものを教えてくれるのは親族か同朋だけで、過酷な労働しか存在しない。読み終えて途方に暮れました……。父親の人徳が無かったら、こういう百年前の家の未来はいったいどうなるんだろうかとか、思いました。
 

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