ゲーテ詩集(46)

 今日は「ゲーテ詩集」その46を配信します。縦書き表示で読めますよ。
 今日の詩は、なぜだか賢治の「銀河鉄道の夜」を思い起こさせるような、青年の心象が記されていました……。
quomark03 - ゲーテ詩集(46)
わたしはもう随分ふるい昔から
この下を舟の行くのを見る
みなそれぞれ目的めあての土地に着く
けれどああ、この昔ながらの苦しみだけは
胸の底にゐて
河と一緒に流れて行きはせぬ
 
わたしはきれいな晴着を着なければならぬ
着物は戸棚から出してある
ちやうど今日は祭の日…………
…………quomark end - ゲーテ詩集(46)
  

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追記  ミニヨンというのはゲーテの「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」に登場する少女ミニョンのことです。

浅草むかしばなし 永井荷風

 今日は、永井荷風の「浅草むかしばなし」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
  永井荷風が戦中と戦後の浅草の風俗史について記しています。浅草とアメリカの奇妙な関係性のこともちょっと記されていました。浅草公園に日本パノラマ館というのがあって、そこで米国の歴史館をつくって興行をやっていたそうです。浅草ロック座は戦後すぐに作られたんですけど、これも永井荷風が深く関わっていて、いつもここに居たんだそうです。
 戦争が終わってから米国文化が日本に入って行ったと言うよりも、戦争が始まるちょっと前に海外文化がいろいろ日本に入ってきていたようです。
 それから西洋のオペラを模したオペラ館というのもあってここで永井荷風の『葛飾情話』という公演が行われたんです。
 

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夢の国 宮原晃一郎

 今日は、宮原晃一郎の「夢の国」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
  これはなんだか、ほとんど誰も知らない和製の童話で、読んでみると中盤にでてくる、3つの「お土産」のなかから最後のお土産だけを持ち帰りなさい、という話しが印象に残りました。最初の2つは、いっけんすてきに見えて、なんの意味も無いものなので持ち帰るべきでは無い、最後の3つめのものだけはみすぼらしくてもそれを持ち帰りなさいという話しでした。そこから先、奇妙なことが起こります……。
   

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これは夜に見る夢の中でのできごとを書いているんですが、後半はなんだかさっぱりよく分かりませんでした。絵本では、文章がよくわからないのがなんだかおもしろい、そういう名作があまたにあると思います。これはかんぜんに幼稚園とか小学校低学年に向けて書かれた童話なんだと思います。手塚治虫の書いた本に、夢オチの物語は良くない、というのがあって、僕は子どものころにこれを信じていたんですが、手塚治虫がもっともこだわった文学者にドストエフスキーが居て、じつはドストエフスキーはみごとな夢オチの数々を記しているんです。ドストエフスキーの場合は、夢オチは中盤に出てきて、伏線として夢での出来事を書いて、そこから現実に起きる異変についてより深く論考してゆくという展開が多いんです。おそらく文意としては、夢オチを描くのならこだわって描きなさい、ということなんだと思うんです。調べてみると手塚治虫は「わるい4コマ漫画の例」として「なんでも夢のオチにしてしまう」と記していました。今回の作品を読んでいて、手塚治虫が夢オチを批判したのは、この話しに似た童話を読んで、こういう物語は良くない、と考えたのでは、と思いました……。

細雪(25) 谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その25を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
「陣場さんは兎に角見合いをさせることを急いで」います。雪子の見合いについては、前回の破談もあるので、当人も幸子も慎重になっていたところなんです。そこで、東京に暮らす鶴子と雪子のほうから手紙がとどきます。本文こうです。 
quomark03 - 細雪(25) 谷崎潤一郎
  昨日雪子ちゃんにも一寸話してみましたが、現金なもので、関西へ行けるとなったら見合いのことも直ぐ承知しました
「見合いが済んだら四五日で帰ると云うことにしておきます」quomark end - 細雪(25) 谷崎潤一郎
 
 お見合いが実家への里帰りの旅になっているようです。あと……病気がちというか伏せがちである雪子は、じつは身体は強くて健康であるので、いきなりの東京の真冬も耐えられているようなんですが、慣れない東京暮らしで肺炎になった家族も出たというのでした。「四つになる女の児梅子の方は肺炎になりそう」と記していました。
 家族の病でお見合いもちょっと延期になった。今回の相手である野村氏は、りっぱな仕事人で、実家はもともと旅館を営んでいたようで、氏のもともとの家族にも異常なところは無かったようです。お見合いの前にいろいろ調べているのが、自分にとっては、なんとも不思議でした。
quomark03 - 細雪(25) 谷崎潤一郎
  一つ奇癖のあることが知れた、と云うのは、兵庫県庁に勤務する同僚の話に依ると、野村氏は時々、極めて突然、全く無意味と云ってもよい取り止めのない独語ひとりごとらす癖があるquomark end - 細雪(25) 谷崎潤一郎
 
 こんなことまで調べているんです。それから、新郎の候補というよりもおじいさんに見えてしまう「雪子の気に入らないことはほぼ確実と云ってよく、第一回の見合いに於いて落第する運命にあるのは先ず明かであった。そう云う訳で今度はあまり張合いのない縁談」と記しているんですが、もはや縁談というよりも、ちょっと奇妙な里帰りの旅みたいになっているんです。今回の終わりの2ページあたりがユーモラスで、読んでいて和みました。
 

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「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。

■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)

ドグラ・マグラ 夢野久作

 今日は、ドグラ・マグラの「夢野久作」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは日本三大奇書とも呼ばれる、有名な暗黒小説で、序盤の1頁目から立ち現れる、見知らぬ親族という謎と、大病院に監禁された男がどうなるのか、というサスペンスが描かれ、終盤では……………この本は大長編なんですけれども、最初の十頁だけを読んでもそうとう魅了される作品だと思います。夢野久作の作品はいろいろあって、「きのこ会議」という掌編がなんだか、おすすめなんです。
 

0000 - ドグラ・マグラ 夢野久作

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追記 ぼくはこれを十年くらい前にいちおう最後までざっと通読したんですけど……今回は全文を再読できませんでした。当時これを読み終えて思ったのは……ここからネタバレなんですけど、終盤で血の呪いというか父権の呪いが病者全体を縛りつけるという、ナチスと大病院の関係を連想させるような展開があって、はじまりの荘厳美麗な暗さの魅惑からガラッと変化して、不気味な父子の物語の鬱々とした世界感に衝撃を受ける、究極の奇書……という印象でした。
 

霜夜 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「霜夜」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 芥川龍之介といえば中国の説話を近代的に描き直した作品が代表作だと思いますし、私小説っぽいものはあまり書かなかったと思うんですが、今回の小説は、ある夜の個人的な時間を描きだした、私小説にしかみえない掌編でした。妻と伯母の声が聞こえる。窓の外は静まりかえっていて、霜夜である。
 九条良経の「きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」を題材にした掌編なのでは、と思いました。
 

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