水の三日 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「水の三日」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは若いころの芥川龍之介の随筆で明治四十三年の罹災生活の三日間のことを記しています。
 芥川龍之介は効率最優先という世界からかけ離れたことを書くんです。なんでも手作業でやるよりほかない、芥川龍之介とその同級生たちは、罹災民のお手伝いをしていて、手紙の代筆をせっせとやっていっている。大水で生き残った人たちには怪我がなく、家は失われても取り乱さずに避難生活を送っている様子が描かれます。芥川龍之介の記す、避難所の細部の描写が印象に残りました。
   

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家のあるじとして気になること フランツ・カフカ

 今日は、フランツ・カフカの「家のあるじとして気になること」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ほんの数ページの掌編なのですが……これはカフカしか書かないだろうという異様な気配の小説になっています。オドラデクという謎の生きものが(たぶんヒトデかクラゲをより謎めいた感じにした生きものが)、家の中で生きている。そういえばニシオンデンザメというサメは400年くらい生きて、植物には1万年以上も生きるものがいるそうです。

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晶子詩篇全集拾遺(64)

 今日は、与謝野晶子の「晶子詩篇全集拾遺」その(64)を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ぼくは与謝野晶子の、家族と自然界を描いた詩歌が好きなのですけれども……今回のは謎めいた作品でした。軍靴の響きについて唐突に書いています。本文とあまり関係は無いのですが、漱石の「草枕」と、ゲーテの「ファウスト」の、終盤の展開で唐突に軍が現れるところは似ている、と思いました。
    

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雪女 小泉八雲

 今日は、小泉八雲の「雪女」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 雪女が風吹と共に現れて去って行ってから、こんどは謎の少女が、現れるんです。はじめに雪女が冷気で人を凍らせる、そのあとに綺麗な少女が現れる。2番目に現れる少女の様相がおもしろかったです。物語は単一の人間だとどうも面白さが出てこないようで、2人が同時にある場面に居て、1人はこうなってもう1人はこうなったという、複数の人間の展開が必要なんだなあと思いました。それから、この雪の女の複層になった生き方と思想というのが面白いと思いました。日本の昔話によく存在している禁忌を、現代ではどういうように描くのだろうかと思いました。
  

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野分(6) 夏目漱石

 今日は、夏目漱石の「野分」その(6)を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 この物語には3人の主要人物がいて、若手作家の中野君と、その友人の高柳君と、文芸誌を編纂している白井先生が登場します。
 高柳君はむかし、悪友たちにそそのかされ、白井先生に嫌がらせをして学校から追い出してしまった。だいぶ古い話なのですが、高柳君はそのことを真面目に謝罪したいが、そう明言する勇気が無い。ところが白井先生はそういう過去をほとんどまったく気にしておらず、いま目の前にある生活と創作のほうに苦労があって、そこに意識が向いている。
 キリストや孔子だけが苦に直面しているわけではなく、近代文学者は受苦の中で生きるしか無い。それから後半の白井先生の冗談みたいなはなしが印象に残りました。ところで作中によく出てくる江湖というのは、辞書によると「世の中。世間。一般社会」という意味があって、ほかの意味あいとしては「隠者の住む地」(デジタル大辞泉より)というので、この両方を意図して「江湖雑誌」と記しているようです。

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歴史の流れの中の図書館 中井正一

 今日は、中井正一の「歴史の流れの中の図書館」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 日本の集団の動き方の問題点について、第二次大戦時の軍事や科学研究を、日米で比較しながら、中井正一が考察しています。
 そこから図書館のしくみが3つある、という話に展開します。まずいちばん古い図書館は、博物館の蔵のように、保存することを中心とした図書館で、これは人々に公開されていない。本を秘宝のように扱っている奇妙な施設のことです。2つめは本を持ち寄ってバザールのように人が出入りして活発に本を貸し出す、生きた図書館について語っています。そして20世紀中盤の、3つめの新しい図書館というのが、インフォメーションセンターとしての図書館で、これはいわば今で言うとwikipediaみたいに情報を整頓し上手く情報を流通させる機能を持っている組織のことを言っているようです。前半に指摘していた、日本の集団が陥りがちな機能不全についての問題提議が、半世紀後に読んでもなんだかすごい指摘に思います。 このエッセーの後半に記されている平和な集団の存在感が、読んでいて印象に残りました。
  

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