パウロの混乱 太宰治

 今日は、太宰治の「パウロの混乱」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 太宰治といえば、イスカリオテのユダがどのようにキリストを裏切ったのか、その時の心情とはどういうものだったのかを描いた小説「駈込み訴え」が有名なのですが、今回はパウロとはどういう人間だったのか、文学的な物語読解を試みています。太宰は、自分の弱さを重んじているパウロを描きだします。苦難のなかでこそキリストの教えにかんする理解を深められるのだと考えたパウロに共感し、この箇所を饒舌な筆致で書き記していました。
 

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追記 太宰の聖書読解と、聖書の原典とをちょっと比較してみました。作中に、パウロが群衆に謝罪をして混乱に至ったという箇所があるのですが、ここがどうも太宰独自の空想的な脚色であるようです。本文のパウロに関するこの記載の部分……「おしまいには、群集に、ごめんなさい、ごめんなさいと、あやまっている。まるで、滅茶苦茶である。このコリント後書は、神学者たちにとって、最も難解なものとせられている様であるが、私たちには、何だか、一ばんよくわかるような気がする。高揚と卑屈の、あの美しい混乱である」
 じっさいの聖書のパウロは、群衆に「ごめんなさい」と謝る箇所は存在していませんでした。ここが太宰治の物語創作におけるの空想的描写に、なっていました。

細雪(67)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その67を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 十数年ぶりに、名古屋の爛柯亭を訪れた姉妹たちが描かれます。雪子のお見合い相手である沢崎氏と対面が近づいてきたのですが……どうもこれまで聞いていた「雪子さんをぜひ娶りたい」という沢崎氏の意向というのは存在しなったということが判明してしまいます。
 幸子が聞いていた話しとは異なっていて、お見合い相手の沢崎氏には積極的な思いは無く、雪子がどういう人かほとんどまったく知らずに居て、他のものたちが強引にこの見合いを用意してしまったので、とりあえず会うだけ会うことにした、ということが分かってきます。幸子としてはもう、雪子と沢崎氏とのお見合いは断りたいという気持ちになっているのでした。沢崎との婚約はまったく期待できない……こういう状況で、夜に蛍狩りに出かけることになった姉妹なのでした。
 

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(総ページ数/約20頁 ロード時間/約3秒)
当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。下巻の最終章は通し番号で『細雪 百一』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)
 

希望 小川未明

 震災で被害にあわれた方々に、謹んでお見舞い申し上げます。『yahoo!ネット募金の災害・復興支援』ページにて、ミャンマーへの募金活動が開始されるもようです。詳しくは検索サイトで『yahoo!募金 復興支援』と検索を。

 今日は、小川未明の「希望」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは幻想的な海辺と空が描きだされるところから始まる童話で、美しい幻想が現実に肉迫してゆき、主人公の青年が不思議なものを目の当たりにする、児童文学の掌編でした。
 

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追記  なんだか不気味な黒い箱が現れて、これに冥界の気配を感じとり、箱を手にすることを辞める青年が描かれるのです。惑いから寂滅為楽へと転じてゆく青年のことを描いたのかなあ、と思いました。かつてはこれを小学生が読んでいたようなのですが。いろは歌の謎解きみたような、奇妙な童話でした。

事前に集めて電子書籍化しておいた本がなぜか怪談だらけで、ここ10日くらい暗い作品ばっかりになってしまって、どうもすみません。

寝ぼけ 夢野久作

 今日は、夢野久作の「寝ぼけ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 夢野久作といえば日本三大奇書ともいわれる「ドグラ・マグラ」が有名で、ぼくはこれを十年くらいまえ最後の頁まで読んだことがあるのですが、氏の作品をいくつか探してみると、意外とみじかい児童小説をたびたび書いています。今回は、夢野久作の奇書のなかでも、かなりの掌編で内容が……寝ぼけまなこで書いたような作品で、ほぼ内容が見当たらないという、なんだか見たことの無い奇書になっているように思いました。
 

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追記  夢野久作という作家名は、福岡の方言で「夢見がちな人間」という意味だそうで、氏は悪夢をとくに好んで描きだしたと思います。夢の中の感覚を巧みに捉えて、小説や映画ではありえないような、断片的で尻切れとんぼになって曖昧模糊としてとりとめのない物語展開が今回、実験的に記されたのでは、と思いました。

愛書癖 辰野隆

 今日は、辰野隆の「愛書癖」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 おおよそ百年前のパリの本屋のことから記しはじめている随筆です。調べてみると、100年後の今もセーヌ川左岸には古本屋が並んでいて多くの本好きが訪れているそうです。
 古今の珍書と読書狂のことをあまたに記していて、本を読むことよりも、珍しい本を買い集めることに熱中した男の話が書かれています。文化的な価値は無い誤植本を高値で蒐集し、複製が困難で写経が重大だった時代に、同じ本を探し出しては買い取ってすぐにそれを廃棄し、珍書の価値を高めてみたりという、常軌を逸したマニアについて書いていました。これが極まると、本泥棒になるのだ、という実例の記載になんだか笑いました。
 やっぱり本が貴重だった数百年前と今とでは、紙の書物に対する熱狂の度合いがちがうのでは、というように思いました。
 大英博物館にもルーブル美術館に実は盗品が展示されているという辰野隆の指摘もあり、興味を引かれました。
 

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女類 太宰治

 今日は、太宰治の「女類」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 お酒でヘベレケになった作家の笠井氏が現れて、男女のことがらについてひどくまくしたてるという、短編小説でした。wikiに記されている太宰治の頁には、本稿に記されているような、男女間の出来事が記されています。これは虚構の物語で、作家の「笠井氏」が現れて、ひどいことを言って、殴られて地面に這い蹲る場面があるのですが、嘘の中にもなんだか太宰治の心情が、表出しているように思う箇所がありました。これは太宰治が戦後に記した、記憶の中に立ち現れる人々への、追悼の思いが色濃い創作なのではというように思いました。
 

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