今日は、坂口安吾の「ヒノエウマの話」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
ぼくはヒノエウマというのをまったく知らなくて、今回辞書でちょっと調べたんですけど、ハレー彗星なみにめったに起きない、60年に1回の、干支の組み合わせだそうです。ヒノエウマの迷信は、ある演劇からはじまったそうです。戦後だいぶたった60年代になってもこの迷信は影響力があったというのが驚きでした。現代でも5%くらいの人がこの奇妙な干支を気にするらしいです。おそらく数年後にもたぶん、これで出生率がほんのちょっとだけ下がる可能性がある、らしいです。極端に非科学的な迷信なんですけど、60年代ではほんとに出生率に影響があって、記録に残っているんです。総じてみたら日本は幸福なお国柄だと思うんですが、いろんなことを気にして、奇妙な犠牲者を作りつつ、こういう社会が作られたんだなあと、坂口安吾のこの本を見るまでまったく知らなかった、日本人の隠された特徴をちょっと知りました……。
調べてみるともともとは中国でヒノエウマと丁巳の年には天災が多い、という伝承だったそうです。この伝承は、数十年に一度は防災のことを考えてみましょうという意味があるわけで、意味のある言い伝えだと思うんです。それが変異して、まったく価値の無い都市伝説になっちゃったようです。坂口安吾はバカげたことを無視せずにちゃんと考えて諭そうとするところがすごいと思いました。本文こうです。
すべて迷信の消滅はこれを期待しない方がよい。そしてただ銘々の教養や勇気や楽天性によって自分がその受難者たることを避けるように心掛けるのが何よりであろう。
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