椎の実 橋本多佳子

 今日は、橋本多佳子の「椎の実」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 日本の作家の始まりは紫式部であって、枕草子や万葉集には女性性が如実にあらわれたものが多いと思うんです。今回の随筆にある、明治大正の男性作家には書けない寂寥と安穏の描写は、近代作品の中にも探してみればもっとあまたに読めるはずだと思うんですけれども、なぜかあまり見つかりません。すてきな随筆でした……。
   

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追記 寺田寅彦が、同時代にどんぐりの随筆を書いています。

去年の木 新美南吉

 今日は、新美南吉の「去年の木」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは絵本のためのものがたりとしてつくられた新美南吉の童話で、おすすめの作品です。小鳥は巣を作るのでも、海を渡るのでも、ひたむきなんだなと思いました。
  

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追記  新美南吉の物語は、読後に謎の残る作品が多いと思うんですけど、これを読むと他の作品の意味内容が見えてくるように思いました。新美南吉やカフカや紫式部の作品を読んで「謎だなあ」と思ったぶぶんの、その謎の正体を探るための手がかりをくれるような童話に思いました。

子供役者の死 岡本椅堂

 今日は、岡本椅堂の「子供役者の死」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 江戸時代の六三郎という十六歳の狂言役者が、どうも死んでしまったという。六三郎は人気者の美青年なんですけれども、やくざの大親分のかこっている女性と恋愛に至ってしまったようなんです。
 本物のヤクザの親分なんです。だから六三郎はいろんな人に勧められて、いったんは泣く泣く別れ話を承諾したのですが、それで終わらなかった。いったん物語はこれで終わったな、というところからの、真相編というような急展開があってみごとな小説でした。ちょっとこれは……近代作家にしては迫真の物語展開で、すごいものを読んでしまったと思いました。
 

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追記  ここからは完全にネタバレなので未読の方はここを読まないで欲しいんですが、ヤクザ側によって私刑ではないんですが異様な奸策をめぐらした私設の裁判が行われてしまう、とうぜん六三郎はこれに気がつかなかった、それが遠因となって不幸が生じる……真相が明かされるところに意外性があって興味深かったです。
 

鎖工場 大杉栄

 今日は、大杉栄の「鎖工場」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 大杉栄というと無政府主義者の思想家だと思うんですけど、その大杉栄が純粋な短編小説を書いています。夢十夜かと思うような、謎めいた不条理小説を書いています。自由の逆側の事態について、異様な筆致で書いていて近代SF小説のような格好良さに魅了されました。本文こうです。
quomark03 - 鎖工場 大杉栄
 俺はへーゲルの言葉を思い出した。「現実するもののいっさいは道理あるものである。道理あるもののいっさいは現実するものである。」quomark end - 鎖工場 大杉栄
 

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ヒノエウマの話 坂口安吾

 今日は、坂口安吾の「ヒノエウマの話」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ぼくはヒノエウマというのをまったく知らなくて、今回辞書でちょっと調べたんですけど、ハレー彗星なみにめったに起きない、60年に1回の、干支の組み合わせだそうです。ヒノエウマの迷信は、ある演劇からはじまったそうです。戦後だいぶたった60年代になってもこの迷信は影響力があったというのが驚きでした。現代でも5%くらいの人がこの奇妙な干支を気にするらしいです。おそらく数年後にもたぶん、これで出生率がほんのちょっとだけ下がる可能性がある、らしいです。極端に非科学的な迷信なんですけど、60年代ではほんとに出生率に影響があって、記録に残っているんです。総じてみたら日本は幸福なお国柄だと思うんですが、いろんなことを気にして、奇妙な犠牲者を作りつつ、こういう社会が作られたんだなあと、坂口安吾のこの本を見るまでまったく知らなかった、日本人の隠された特徴をちょっと知りました……。 
 調べてみるともともとは中国でヒノエウマと丁巳の年には天災が多い、という伝承だったそうです。この伝承は、数十年に一度は防災のことを考えてみましょうという意味があるわけで、意味のある言い伝えだと思うんです。それが変異して、まったく価値の無い都市伝説になっちゃったようです。坂口安吾はバカげたことを無視せずにちゃんと考えて諭そうとするところがすごいと思いました。本文こうです。
quomark03 - ヒノエウマの話 坂口安吾
 すべて迷信の消滅はこれを期待しない方がよい。そしてただ銘々の教養や勇気や楽天性によって自分がその受難者たることを避けるように心掛けるのが何よりであろう。quomark end - ヒノエウマの話 坂口安吾
  

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買食ひ 片山廣子

 今日は、片山廣子の「買食ひ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 歩いて散歩をしていて、山の途中でお茶屋に入る、ということをやってみたくなるような、随筆でした。戦後数年たって、やっと食糧難が解消しつつあるころのエッセイでした。

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