鎖工場 大杉栄

 今日は、大杉栄の「鎖工場」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 大杉栄というと無政府主義者の思想家だと思うんですけど、その大杉栄が純粋な短編小説を書いています。夢十夜かと思うような、謎めいた不条理小説を書いています。自由の逆側の事態について、異様な筆致で書いていて近代SF小説のような格好良さに魅了されました。本文こうです。
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 俺はへーゲルの言葉を思い出した。「現実するもののいっさいは道理あるものである。道理あるもののいっさいは現実するものである。」quomark end - 鎖工場 大杉栄
 

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ヒノエウマの話 坂口安吾

 今日は、坂口安吾の「ヒノエウマの話」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ぼくはヒノエウマというのをまったく知らなくて、今回辞書でちょっと調べたんですけど、ハレー彗星なみにめったに起きない、60年に1回の、干支の組み合わせだそうです。ヒノエウマの迷信は、ある演劇からはじまったそうです。戦後だいぶたった60年代になってもこの迷信は影響力があったというのが驚きでした。現代でも5%くらいの人がこの奇妙な干支を気にするらしいです。おそらく数年後にもたぶん、これで出生率がほんのちょっとだけ下がる可能性がある、らしいです。極端に非科学的な迷信なんですけど、60年代ではほんとに出生率に影響があって、記録に残っているんです。総じてみたら日本は幸福なお国柄だと思うんですが、いろんなことを気にして、奇妙な犠牲者を作りつつ、こういう社会が作られたんだなあと、坂口安吾のこの本を見るまでまったく知らなかった、日本人の隠された特徴をちょっと知りました……。 
 調べてみるともともとは中国でヒノエウマと丁巳の年には天災が多い、という伝承だったそうです。この伝承は、数十年に一度は防災のことを考えてみましょうという意味があるわけで、意味のある言い伝えだと思うんです。それが変異して、まったく価値の無い都市伝説になっちゃったようです。坂口安吾はバカげたことを無視せずにちゃんと考えて諭そうとするところがすごいと思いました。本文こうです。
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 すべて迷信の消滅はこれを期待しない方がよい。そしてただ銘々の教養や勇気や楽天性によって自分がその受難者たることを避けるように心掛けるのが何よりであろう。quomark end - ヒノエウマの話 坂口安吾
  

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買食ひ 片山廣子

 今日は、片山廣子の「買食ひ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 歩いて散歩をしていて、山の途中でお茶屋に入る、ということをやってみたくなるような、随筆でした。戦後数年たって、やっと食糧難が解消しつつあるころのエッセイでした。

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音について 太宰治

 今日は、太宰治の「音について」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 「トカトントン」で有名な太宰治が、音について記している随筆です。なにかしらの印象が、音として現れる……。また雑音や生活音について記していて、最後の一行で奇妙なことを述べていました。ぼくが思ったのは、ダンテの神曲には生活の気配がまったくなかった、ということで、そうではないところの文学性について論じていました。
  

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細雪(1) 谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その1を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回から百回くらいかけて谷崎の細雪を読んでゆこうと思います。ぼくは「陰翳礼賛」と「痴人の愛」と「卍」は読んだんですが、これははじめて読むのでとても楽しみです。この小説は上巻中巻下巻の3冊あります。今回は全巻を通読してゆけるようにまとめてみました。
 ぜんぶで百章ちょっとあってぼくはまだ第一章しか読めていません。鶴子・幸子・雪子・妙子の4姉妹の物語だそうです。悦ちゃんというのは幸子の娘です。
 4姉妹のおもな呼び名や属性は、鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)というようになっています。三女の雪子がどのようなひとと結婚をするのか、というのから物語が始まります。
「なあ、こいさん、雪子ちゃんの話、又一つあるねんで」
 ということで、どういう結婚がありえるのか、4姉妹でいろいろ話してゆくようなんです。近い未来について何度もはなす、いろいろうわさをする、そういうところも話しとして展開してゆくようです。
 これは1936年からの約5年間を描いた作品で、当時の物価は1円でいまの1000円くらいの貨幣価値がありました。
 そういえば文豪ゲーテは色彩論や美学論を記しています。谷崎の「陰翳礼賛」は日本の美学を読み説いた随筆で、本作でも谷崎潤一郎の美のまなざしを堪能できるのでは、と思います。
 一番年下の妙子(こいさん)というのがヤンチャで大人ぶっていてなんだか魅力的です。
 作中のほとんどが関西弁なんですけど、谷崎潤一郎はじつは関西弁は話さなかったそうです。それなのにこんなにきれいな関西弁を書けるというのがすごいと思います。
 会社員のしっかりした稼ぎの男が見合い相手らしいのですが、フランス系の会社に勤めているので、結婚したらフランス語を教えてもらえるかも、ということを話しています。
 最初のほうからビタミンBの注射をする、という奇妙な話が出てきます。医者の手を借りずに、姉妹同士でこの美容法をやっている。現代ではビタミンのサプリメントを飲みたがる人がいて、そういうイメージなのかと思いますが、血も針もでてくるのでなんだか、秘蔵の美容法みたいで謎めいています。注射ごっこではなく、ほんとに姉妹で注射をしている……。次回に続きます。全三巻の全文をいっきょに通読することもできますので、好きなところを読んでみてください。
 

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「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。

おねずみおばさんのはなし ベアトリクス・ポッター

 今日は、ベアトリクス・ポッターの「おねずみおばさんのはなし」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは幼子が読むための童話で、大人といっしょに読む絵本なんだと思うんですけれども、大人になってから読んでみると、ベアトリクスポッターという作者の雰囲気と、ねずみらしいねずみの世界観が、ちょうど50対50くらいの半分ずつ入り混じっていて、そこが魅力になっているように思いました。うまいキャラクター造型で、すてきな童話に思いました。
 愛らしい性格なんですけれども、けっこう近くにいたら困ってしまうようなおせっかいなおばさんでもあるんです。
 このねずみのおばさんが、めいわくな隣人をはんぶんだけ受け入れるところが、みごとな対応に思いました。
  

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