麦畑 宮本百合子

 今日は、宮本百合子の「麦畑」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 宮本百合子が古い故郷の女たちを描いている随筆です。うこぎ、という植物を生け垣にしておいて、それをお味噌汁に入れて食べるそうです。食べられる垣根というのは不思議な感じがします。それから百年くらい前に女たちが好んでいた占いについて書いています。近未来のできごとをなぜか言いあてる占い、偶然にもよく当たる占いについて、農作業をしながら話している……。

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追記  ポロックでもデュシャンでも、偶然を上手く活かすのが美術の重要な技法ですけれども、占いや、恋愛や交流や未来について考えることも、この偶然性というのをどう活かすかにかかっているのでは、とか思いました。
 

農学校歌 宮沢賢治

 今日は、宮沢賢治の「農学校歌」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは宮沢賢治が書いた、農学生のための校歌です。
 賢治ファンでももしかしたら読んだことがないかも、しれないです。ぼくは一部だけ知っていたのですけれども、全文ははじめて読みました。

 日は君臨しかがやきの
 太陽系はまひるなり
 

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※判読しやすいように、カナ文字をひらがなに書き換えました。 
 

一過程 島木健作

 今日は、島木健作の「一過程」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは近代の、貧しい農民たちが選挙と地域政治に取り組む物語です。落選後の活動、というふつう見ることの出来ない場面から描かれてゆくのが印象深かったです。
 少数派は多数決で勝てない、けれども少数派は正しい政治によって不平等な条件を撤廃に持ちこむ必要がある、という不合理があると思うんです。そこで近代文学者の島木健作はどういうことを書いたのか、というのが興味深かったです。マイノリティーと政治の物語というと、ぼくはジョン・ルイスの『MARCH』という作品が好きで、これは十代向けのCOMICの形式で描かれた書物なんですけれども、二十世紀の黒人は具体的にどのような迫害を受けていてどのように政治運動を成功させたのか、史実の負の側面をどう描いて伝えてゆくのか、その表現方法に関心を持ちました。美談に終わらせないんですけど、マルコムXとキング牧師の晩期を慎重に割愛する、という表現もあって、一巻の終盤が見事だったのと、中盤で描かれてゆくオバマ大統領との描写と、最終巻の物語の帰結の持って行き方に感心しました。
 島木健作は、挫折を描きだすんです。現実的な描写に驚く物語なんです。社会運動の物語と言うよりもジョージオーウェルのディストピア小説「1984」に近いところがありました。「一過程」は1935年に書かれたもので、現実にも当時の作家はつねに発禁と隣りあわせで、当時の特高からの迫害をまぬかれて戦争の終わる日を迎えることはとても困難な十年間だったように思いました。この小説は後半で意外な展開があるんです。それから終盤の描写がみごとでした……。
 

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緑の芽 佐左木俊郎

 今日は、佐左木俊郎の「緑の芽」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 農民文学というとまず、宮沢賢治の「農民芸術概論綱要」が思いうかぶんですけど、近代文学の中では、佐左木俊郎がまたそれらとは異なる、農民の生き方を直接的に描きだす小説を数多く描いているんです。じっさい農民の生きざまを直接的に描いた作家と言えば、佐左木俊郎がいちばん有名なんだと思います。
 農民、と言っても現代の機械を上手く使いこなす大規模農園とはまるで違っていて、ぜんぶ手作業で仕事をするしかない、機械を持たない時代の農業の物語で……つまり千年間以上、過去に何億人という日本人が(世界中の人が)こうやってほんとうに生きてきたわけで、読んでいてつねに「うわあ」と声をあげてその過酷な生き方を垣間見てゆきました。数百年前とかだったら機械が無かったわけで、テレビも無ければ、巨大輪転機も輸送トラックも無いから紙の本もふつうの人は手に取れないし、図書館も本屋も無い。ものを教えてくれるのは親族か同朋だけで、過酷な労働しか存在しない。読み終えて途方に暮れました……。父親の人徳が無かったら、こういう百年前の家の未来はいったいどうなるんだろうかとか、思いました。
 

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北国の春 中谷宇吉郎

 今日は、中谷宇吉郎の「北国の春」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ぼくはつい何年かまえに中谷宇吉郎のことをはじめて知ったのですけど、北海道とアメリカの文化に詳しい科学者で、これはウィネツカで書かれた作品です。考えてみれば、北海道の歴史とアメリカの歴史は似ています。北海道の農法がとくに米国型でダイナミックで、日本の食の中心になっています。
 これ不思議な随筆なんですよ。今はもう、アメリカも日本も田舎も都会もみんな均一化されてしまって、特徴が掴みにくい時代になったと思うんですけど、百年前のアメリカの印象とかが工業製品みたいに食糧を扱う国として例示されていて、中谷氏の考察が今の時代になんだかおもしろく映るように思いました。
 それからアイヌ民族の研究をしたジョン・バチェラーのことを書いていて興味を持ちました。いつか関連書籍を読んでみたいです。戦後すぐの日本の変化は、北海道の近現代史を調べてみると、よく見えてくるように思いました。
 イグルーの話しとか、食糧生産計画とか、北国を中心にして壮大な随筆なんです。ネイティブアメリカンは、大戦後すぐと今とで、どのような暮らしの変化があったのだろうかとか……本文とは関係の無い話しもいろいろ気になってくるエッセーでした。
 

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或る農学生の日誌 宮沢賢治

 今日は、宮沢賢治の「或る農学生の日誌」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 宮沢賢治は農学校で野菜や穀物や果物をつくる仕事と、文学を書く仕事を両方ともやった作家で、今回は、農業と芸術について、農学生の視点から書いています。
 賢治の書き記した農業の文学は、世界中で読んでもらえるものだと思うんですけど、海外で人気があるのでしょうか。雨ニモマケズの外国語訳のことしか知らないです。宮沢賢治の作品は、農を中心にして見ると、印象が変わるように思いました。

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