夏の花 原民喜

 今日は、原民喜の「夏の花」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 原民喜は、被爆する以前に詩人として長らく活動していて、1945年夏に原爆の直撃を受けて生き残り、その被害を正確に記していったのがこの「夏の花」の内容です。(誤記を一部訂正しました……)原民喜は戦争の被害の事実を克明に記しているので、中盤であまりにも凄惨な描写が続くのですが、行方不明だった中学生の甥が帰ってきた、そのあとの描写を読んでいて唸りました。冒頭では、主人公「私」が、まるで戦争の被害を受けていないころに、亡くなっていった妻の墓を訪れる場面が描かれます。この最初の描写が美しいんです。これが終盤の「N」の彷徨と共鳴していて、読み終えた時に、平和と戦時が二重写しに描きだされて、唐突に現実世界に引き戻されたように思いました。wikipediaの解説が詳細で、参考になりました。また原民喜の小説を読むのなら、広島文学資料室webサイトを併せて閲覧することをお勧めします。
quomark03 - 夏の花 原民喜
  香はしき山々の上にありて獐の
ごとく小鹿のごとくあれquomark end - 夏の花 原民喜
 
 という冒頭の詩の言葉が印象に残りました。
 

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