ハイネ詩集 生田春月訳

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ハイネ詩集
生田春月 訳
 
 
 
デイアヌ

ビヤスカの入海のほとりであつた
彼女の生れた土地は
彼女ははやあかんぼの時でさへ
二匹の仔猫をおしつぶした

彼女は跣足はだしでピレネエの
山から山を駈けまはつてゐたが
それからペルピニヤンに出て行つて
たちまち大女おほをんなの名をあげた

今でもフォオブウル・サン・デニスで
くらべものもない大女とうたはれて
あの小男のサア・ヰリアムに
一万三千ルイを費はせた

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
底本:「ハイネ詩集」(新潮文庫、第三十五編)
新潮社出版、昭和八年五月十八日印刷、昭和八年五月廿八日發行、
昭和十年三月二十日廿四版。
生田春月(1892-1930年) 
「ハイネ詩集」(Heinrich Heine, 1797-1856年)
入力:osawa
編集:明かりの本
2017年7月7日作成
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