みぎはくる牛かひ男歌あれな秋のみづうみあまりさびしき やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君 柳 六(む)もと七(なゝ)もと立つ柳、 冬は見えしか、一列の 廃墟(はいきよ)に遺(のこ)る柱廊(ちゆうらう)と。 春の光に立つ柳、 今日(けふ)こそ見ゆれ、美(うつ)くしく、 これは翡翠(ひすゐ)の殿(との)づくり。 易者に ものを知らざる易者かな、 我手(わがて)を見んと求むるは。 そなたに告げん、我がために 占ふことは遅れたり。 かの世のことは知らねども、 わがこの諸手(もろで)、この世にて、 上なき幸(さち)も、わざはひも、 取るべき限り満たされぬ。