与謝野晶子詩歌集

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みぎはくる牛かひ男歌あれな秋のみづうみあまりさびしき 
 
やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君 
 
 
 
 
 
 
 
  柳 
 
もとなゝもと立つ柳、 
冬は見えしか、一列の 
廃墟はいきよのこ柱廊ちゆうらうと。 
春の光に立つ柳、 
今日けふこそ見ゆれ、うつくしく、 
これは翡翠ひすゐ殿とのづくり。 
 
 
 
 
 
 
 
  易者に 
 
ものを知らざる易者かな、 
我手わがてを見んと求むるは。 
そなたに告げん、我がために 
占ふことは遅れたり。 
かの世のことは知らねども、 
わがこの諸手もろで、この世にて、 
上なきさちも、わざはひも、 
取るべき限り満たされぬ。