さて責むな高きにのぼり君みずや紅(あけ)の涙の永劫(えいごふ)のあと 春雨にゆふべの宮(みや)をまよひ出でし小羊(こひつじ)君(きみ)をのろはしの我れ 悲しければ 堪(た)へ難(がた)く悲しければ 我は云(い)ひぬ「船に乗らん。」 乗りつれど猶(なほ)さびしさに また云(い)ひぬ「月の出を待たん。」 海は閉ぢたる書物の如(ごと)く 呼び掛くること無く、 しばらくして、円(まる)き月 波に跳(をど)りつれば云(い)ひぬ、 「長き竿(さを)の欲(ほ)し、 かの珊瑚(さんご)の魚(うを)を釣る。」 緋目高(ひめだか) 鉢のなかの 活溌(くわつぱつ)な緋目高(ひめだか)よ、 赤く焼けた釘(くぎ)で なぜ、そんなに無駄に 水に孔(あな)を開(あ)けるのか。 気の毒な先覚者よ、 革命は水の上に無い。