絵日傘をかなたの岸の草になげわたる小川よ春の水ぬるき しら壁へ歌ひとつ染めむねがひにて笠はあらざりき二百里の旅 × 見る夢ならば大きかれ、 美(うつ)くしけれど遠き夢、 険(けは)しけれども近き夢。 われは前をば選びつれ、 わかき仲間は後(のち)の夢。 × すべてが消える、武蔵野の 砂を吹きまく風の中、 人も荷馬車も風の中。 すべてが消える、金(きん)の輪の 太陽までが風の中。 × 花を抱きつつをののきぬ、 花はこころに被(かぶ)さりぬ。 論じたまふな、善(よ)き、悪(あ)しき、 何(なに)か此(この)世に分(わか)つべき。 花と我とはかがやきぬ。