ひと枝の野の梅をらば足りぬべしこれかりそめのかりそめの別れ 鶯は君が夢よともどきながら緑のとばりそとかかげ見る × 韻がひびかぬ、死んでゐる、 それで頻(しき)りに書いてみる。 皆さんの愚痴、おのが無智、 誰(た)れが覗(のぞ)いた垣の中(うち)、 戸は立てられぬ人の口。 × 泥の郊外、雨が降る、 濡(ぬ)れた竈(かまど)に木がいぶる、 踏切番が旗を振る、 ぼうぼうとした草の中 屑屋(くづや)も買はぬ人の故(ふる)。 × 指のさはりのやはらかな 青い煙の匂(にほ)やかな、 好きな細巻、名はDIANA《デイアナ》。 命の闇(やみ)に火をつけて、 光る刹那(せつな)の夢の華。