紫(むらさき)の理想(りさう)の雲はちぎれ/\仰ぐわが空それはた消えぬ 乳ぶさおさへ神秘(しんぴ)のとばりそとけりぬここなる花の紅(くれなゐ)ぞ濃き × 人は黒黒(くろぐろ)ぬり消せど すかして見える底の金(きん)。 時の言葉は隔(へだ)つれど 冴(さ)ゆるは歌の金(きん)の韻。 ままよ、暫(しばら)く隅(すみ)に居ん。 × いつか大きくなるままに 子らは寝に来(こ)ず、母の側(そば)。 母はまだまだ云(い)ひたきに、 金(きん)のお日様、唖(おし)の驢馬(ろば)、 おとぎ噺(ばなし)が云(い)ひたきに。 × ふくろふがなく、宵になく、 山の法師がつれてなく。 わたしは泣かない気でゐれど、 からりと晴れた今朝(けさ)の窓 あまりに青い空に泣く。