与謝野晶子詩歌集

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神のせなにひろきながめをねがはずや今かたかたの袖こむらさき 
 
とや心朝の小琴をごとの四つの緒のひとつを永久とはに神きりすてし 
 
 
    × 
おち葉した木が空を打ち、 
枝も小枝も腕を張る。 
ほんにどの木も冬に勝ち、 
しかと大地たいちに立つてゐる。 
女ごころはいぢけがち。 
    × 
玉葱たまねぎがせても 
青いかへるはむかんかく。 
裂けた心を目にしても 
廿にじふ世紀は横を向く、 
太陽までがすましく。 
    × 
話は春の雪の沙汰さた、 
しろい孔雀くじやくのそだてかた、 
巴里パリイの夢をもたらした 
荻野をぎの綾子あやこの宵のうた、 
我子わがこがつくる薔薇ばらはた。