御袖ならず
夏花のすがたは細きくれなゐに
我子等よ
いとしき、いとしき
世に生れしは
されど、また君達は知れかし、
一切の因襲を超えて、
自由と愛に生き
みづからの力に
新らしき世界を始め
いとしき、いとしき
世に生れしは幸ひか、
いとしき、いとしき
今、君達のために、
この母は告げん。
君達は知れかし、
私有する一尺の土地も無きを、
君達はまた知れかし、
我等——親も子も——
その避けがたきことを。
親として
人の身にして
愛することは
成しのままなる心なり。
けものも、鳥も、物
木さへ、草さへ、おのづから
人はおほかた
人は
すべての親は
さても悲しや、今の世は
働く
職に離るる親多し。
いとしき心余れども