ゆふぐれを籠へ鳥よぶいもうとの
ゆく春をえらびよしある
Aの字の歌
(少年雑誌のために)
Ai《アイ》 (
アルハベツトの書き
わたしの好きなA《エエ》の字を
いろいろに見て歌ひましよ。
飾り
奥に見えるは
遠い岬に灯台を
ほつそりとして一つ立て、
それを
いつも優しいA《エエ》の字は
目には見えぬが、
いつも明るいA《エエ》の字は
光の鳥をじつと抱く。
元気に満ちたA《エエ》の字は
広い
さつく、さつくと
あちらを向いて急ぐ人。
つんとすましたA《エエ》の字は
オリンプ
時にさびしいA《エエ》の字は
三角
しかも
雲の
はるかに光る
そして
道化役者のピエロオの
赤い
わたしの前に踊り出す。