思はぬで無し、
知らぬで無し、
余りに事の
歌ふ心に遠ければ。
わたしは小さな
幾つも幾つも
わたしの手のなかで、
なんと
この虫達の反抗力でせう。
まるで BASTILLE《バスチユ》 の
蚊
蚊よ、そなたの前で、
人間の
拡大鏡となり、
また拡声器ともなる。
吸血鬼の幻影、
蛾
火に来ては死に、
火に来ては死ぬ。
同じ
幾万年くり返す
朝顔
それを見る
わたしは
それから、ボチセリイの
派手なヴイナスの誕生が前に現れる。
虫の一座の
歌ふことは致しませねど、
態度を御覧下されえ。
人間の学者批評家にも
わたしのやうな諸君がゐらせられる。
男性の専制以上に
残忍を極める女性の専制。
その
恋愛を知らない
玉虫
もう、玉虫の
今の娘に感激の無いのは、
玉虫に毒があるよりも
いたましい事ですね。