笛の音に法華経うつす手をとどめひそめし眉よまだうらわかき
わが
濃き空色の
板井のほとり。
月見草
はかなかる花にはあれど、
ふるさとの野を思ひ
わが母のこと思ひ
初恋の日を思ひ
指にはさみぬ、
伴奏
われはをみな、
それゆゑに
ものを思ふ。
にしき、こがね、
すべて
ひとり眠る
わびしさは
をとこ知らじ。
黒きひとみ、
ながき髪、
しじに
恋し、恋し、
はらだたし、
ねたし、悲し。