第一の陣痛
わたしは
生理的に病んでゐる。
わたしは黙つて目を
なぜだらう、わたしは
痛みと、血と、叫びに慣れて居ながら、
制しきれない不安と恐怖とに
若いお医者がわたしを慰めて、
生むことの
そんな事ならわたしの方が余計に知つてゐる。
それが今なんの役に立たう。
知識も現実で無い、
経験も過去のものである。
みんな黙つて居て下さい、
みんな傍観者の位置を越えずに居て下さい。
わたしは
天にも地にも
じつと唇を
わたし自身の不可抗力を待ちませう。
生むことは、現に
わたしの内から
もう是非の
今、第一の陣痛……
太陽は
世界は
さうして、わたしは