大震後第一春の歌
おお
その急激な襲来にも
我我は
一難また一難、
それを踏み越えて
しかと
大自然のあきめくら、
見くびつてくれるな、
人間には備はつてゐる、
それから、上下左右へ
即座に方向転移の出来る
飛躍自在の
おお
火の中からでも芽をふくものは。
おお
天の日、
それと共に若やかに
燃え上がり躍り上がるのは。
我我は「無用」を破壊して進む。
見よ、大自然の暴威も
時に我我の助手を勤める。
我我は「必要」を創造して進む。
見よ、
精神と様式とが前に現れる。
我我の生活のみづみづしい絵を
塗りの
手は
トタンと
汗と破格の歌とを
かんかんと
法外な幻想に、
愛と、真実と、労働と、
科学とを織り交ぜよ。
古臭い優美と泣虫とを捨てよ、
歴史的哲学と、資本主義と、
性別と、階級別とを超えた所に、
我我は皆自己を試さう。
新しく生きる者に
日は常に
時は常に春。
百の
千の
おお
元朝の富士
今、一千九百十九年の
最初の太陽が昇る。
静かなる
東の空の一端に、
天をつんざく
新しい世界の噴火……
わたしは
新しい目を
思はずも見た、
おお、
巨大なダンテの
それはバルジエロの壁に
青い
若き日の詩人と同じ姿である。
あれ、あれ、「新生」のダンテが
その
わたしと同じ不思議が見たくば、
いざ