すいつちよ
青いすいつちよよ、
青い
青いすいつちよの心では
恋せぬ昔の私と思ふらん、
思へば
今聞く声も変り無し、
きさくな、
青いすいつちよよ、
青いすいつちよは、なぜ
わたしの
やつれの見えるわたしの
ほつれたるわたしの髪をじつと見て、
虫の心も
青いすいつちよよ、
わたしはすべて
いざ、
来てとまれ、
わたしの左の白い
上総の勝浦
おお
山が緑の
優しい両手を伸ばした中に、
海と街とを抱いてゐる。
人間も、船も、鳥も、
青空に掛る
すべてが平和な子供になる。
この浜の砂の上では、
柔かな
それは山に姿を
静かに抱く者があるからだ。
おお
静けき若葉の身ぶるひ、夜霧の白い息。
笛、笛、笛、笛、我等も