朝顔の花
朝顔の花うらやまし、
秋もやうやく更けゆくに、
朝顔の花、人ならば
世や憎みなん、それゆゑに
思はぬ恥も受けつべし。
朝顔の花、めでたくも
夏より秋を
飽くこと知らで日にぞ
晩秋
赤い
点、点、点、点、
桜のもみぢ、
そして
涙ぐましい気にもなる。
わたしのためにあの空も
赤い
サツフオオの住む
出て
泣くサツフオオが目に見える。
物の盛りの尽きる
おお
点、点、点、点、しばらくは
わたしの髪も
電灯
狭い書斎の電灯よ、
わたしと共に十二時を
越してますます目が
不眠症なる電灯よ。
わたしの
たつた一つの電灯よ、
わたしの暗い心から
吐息と共に込み上げる
思想の水を導いて
机にてらす電灯よ。
そなたの顔も青白い、
わたしの顔も青白い。
地下室に似る沈黙に、
気は張り詰めて居ながらも、
ちらと
わたしも
近づく朝を
女ごころと電灯と
じつと
死を隠したる片隅の
陰気な
柱時計の意地わるが
人の仕事と命とに