白樺
ひともと
しら
その葉は落ち
白き
日は今、
うす紫の
その
しら
悲しき殉教者の血を、
その胸より、
たらたらと
雪の朝
風も、大気も、
野も、水も
みな
地上一尺の大雪……
それが
すつかり隠して、
いろんな三角の
光を受けた部分は
粗悪な
そして
幾つかの
どれも
手を失ひ、
黒い血をにじませながら立つてゐる。
それは枝を払はれたまま、
じつと、いきんで、
死なずに春を待つてゐる
太い
たとへば私達のやうな者である。
雪の上の鴉
雪の上の
近い処に
少し離れて十四五
雪の上の
半紙の上に黒く
雪の上の
「かあ」と
雪の上の
動きもせねば飛びもせぬ。