市中沙塵
柳の青む
二月の風は
都の街の
砂の
砂の地雷を噴き上げる。
よろよろとして、
山高帽を
洋服づれの逃げ足の
さと
痛き
思はずにじむ涙さへ
砂の音して、あぢきなし。
二月の風の憎きかな、
乱るる
髪も
灰色したる心地して、
砂の
弥生の歌
にはかに人の胸を打つ
高い
かぼそい靴を
くるりと
ルイ
四月の太陽
ああ、今やつと目の
はればれとせぬ、薄い黄の
メランコリツクの太陽よ、
霜、氷、雪、北風の
永く見詰めて
暗い
柳並木の
塗り替へられた水色の
きやしやな
白い
銀の
風を
顔を
若い男の太陽よ。
しかし早くも、
うすくれなゐの
太陽の
底ぢからある
あたりを見れば、桃さくら、
エリオトロオプ、チユウリツプ、
花の踊りの幾むれが
春の歌をば
細い
ああ太陽よ、新しく
そなたを祝ふ朝が来た。
もとより若い太陽に
春は途中の
いざ
全身の血を香らせて
花と青葉を呼吸せよ、
いざ
はた清くして、
やがて、そなたの
すべての溝が毒に
すべての街が悪に燃え、
腐れた
雨と洪水、
濁り、泡立ち、
夏の都を越えながら、
信と勇気の
細身の剣と
ああ太陽よ、
秋の野山に分け