エトワアルの広場
土から
わたしは突然、
大きな
それを
マロニエの並木が明るい緑を盛上げ、
そして人間と、自動車と、乗合馬車と、
乗合自動車との点と
命ある物の
整然とした混乱と
自主独立の進行とを、
おお、
わたしは思はずじつと立ち
わたしは思つた、——
これで自分は
この前来た時は
いろんな車に
広場を横断する勇気が無かつた。
そして
モンソオ公園へ
アヴニウ・ウツスの
広場の円の端を
長い間ぐるぐると
どうした気持のせいでか、
アヴニウ・ウツスの
二度も三度も広場の円の端を
けれど
わたしは地図を研究して来てゐる。
バルザツク
バルザツク
この広場を前へ
わたしは
速度の速い、いろんな車が
広場へ出るが最期
二三歩で
この時、わたしに、突然、
叡智と威力とが
わたしの全身を生きた鋼鉄の人にした。
そして
決然として、馬車、自動車、
乗合馬車、乗合自動車の渦の中を
あわてず、走らず、
それは
そして、わたしは、
わたしが
速度の
わたしを愛して
わたしは新しい喜悦に胸を
斜めにバルザツク
そして
午後二時の約束通り、
わたしの
若い主人夫婦がわたしを待つてゐた。
ルウヴル
中庭にある桃色の
紫がかつて暮れてゆく。
花壇の花もほのぼのと
赤と白とが薄くなり、
並んで通る恋人も
ひと組ひと組暮れてゆく。
君とわたしも石段に
腰掛けながら暮れてゆく。
ヴェルサイユの逍遥
ヴェルサイユの
大理石の
花と、
われ
広大なる森の中に
明るき緑の
その
薄赤き
われは
ブナの根がたに
快き静けさよ、かなたの
近き
わが心は
ルイ王とナポレオン皇帝との
華麗と
モリエエルの演じたる
宮廷劇場の静かな
されど、楽しきわが夢は覚めぬ。
目まぐるしき過去の世紀は
かの
わが目に映るは今
ブナの大樹と石の卓とばかり。
ああ、われは
わが追ひつつありしは
人間の短命の
いでや、森よ、
われは千年の森の心を得て、