セエヌ川
ほんにセエヌ川よ、いつ見ても
灰がかりたる浅みどり……
泣いた
いいえ、セエヌ川は泣きませぬ。
橋から
旅にやつれたわたしこそ……
あれ、じつと、
船にも岸にも
セエヌ川よ、
やつばりそなたも泣いてゐる、
女ごころのセエヌ川……
芍薬
わが乱れ髪夢にして
みづからを焼く火となりぬ。
ロダンの家の路
だらだら
アカシヤの
あれ、あの森の右の
あの
ちらと
涼しい風が吹いて来る、
マロニエの
これが日本の
青い「ぎいす」が鳴くであろ。
黄ばんだ麦と
眠い目をして、
じつと立ちたる馬の影。
「 MAITRE《メエトル》 RODIN《ロダン》 の別荘は。」
問ふ
KIMONO《キモノ》 姿のわたしをば
不思議と見入る
「メエトル・ロダンの別荘は
ただ
木の
胸は
アカシヤの