春の微風
ああ
そのたをやかな身を浸して、
春の舞台に登るそよかぜ。
そなたこそ若き日の初恋の
あまき心を歌ふ序曲なれ。
たよたよとして
いと長きその喜びは既に
また、そなたこそ美しきジユリエツトの
ロメオに投げし燃ゆる目なれ。
また、フランチエスカとパウロとの
ああ
今、そなたの第一の
人も、花も、
わなわなと胸踊る、胸踊る。
桜の歌
花の中なる京をんな、
女ごころに晴れがまし。
女同士とおもへども、
女同士の気安さの
中に
春の遊びを
知り
分けていみじき
日は今西に移り
知り
青味を帯びしひと時を。
日は今西に移り
静かに
花は泣かねど人ぞ泣く。