女は掠奪者
大百貨店の
どの女の心をも
祭よりも
一生涯、異性に心引かれぬ女はある、
子を生まうとしない女はある、
芝居を、音楽を、
茶を、小説を、歌を好まぬ女はある。
胸を
その
(たとへ
その気分は
人の中の
わたしは
早く神を
美の前には、つつましい
永久の信者である。
けれども、
わたしに大きな不安と
深い恐怖とが感ぜられる。
わたしの興奮は
わたしの
一瞬の
「
かう
さうして赤面し、
はげしく良心的に
大百貨店の
掠奪者でない女があらうか。
掠奪者、この名は
しかし、この名に値する生活を
実行して
ああ、世界無数の女ではないか。
(その女の
女は父の、兄の、弟の、
知識と
労働の結果である財力を奪つて
女自身の正当な所有では無い。
女が呉服屋へ、化粧品屋へ、
貴金属商へ支払ふ
あの
すべて男子から搾取するのである。
女よ、
(その女の
無智、無能、無反省なお前に
男子からそんなに法外な報酬を受ける
立派な理由が
お前は娘として
その華麗な服装に匹敵する
どんなに
どんなに
世界の青年男子に尊敬され
お前は妻として
どれだけ
どれだけ
お前は
対等に
お前は一日の
自分の勤労で
お前は母として
自分の子供に
お前からでなくては与へられない程の
立派な精神的な
少しでも自分の子供に吹き込んだか。
お前は第一母たる真の責任を知つてゐるか。
ああ、わたしは
さうして
憎むべく、
女は掠奪者、その
依頼性とのために、
父、兄弟、
わたしは
華やかな光景を好く。
わたしは不安も恐怖も無しに
再び「美」の神を愛したいと願ふ。
しかし、それは勇気を要する。
わたしは男に
わたしの
わたし自身の血で
わたしは
わたしは一切の女に裏切る、
わたしは掠奪者の名から
女よ、わたし自身よ、
お前は
直接なにの貢献があるか。
大百貨店の
お前は特権ある者の
その
最上最貴の
ああ、男の法外な寛容、
ああ、女の法外な
(一九一八年作)