花子の歌四章(童謡)
九官鳥
九官鳥はいつの
わたしの名をばはつきりと
優しい声で「花子さん。」
「
九官鳥の憎らしや、
聞かぬ
「ちりん、ちりん」と
「もう知らない」と
わたしが
九官鳥のおどけ者、
「困る、困る」と高い声。
薔薇と花子
花子の庭の
花子の植ゑた
ほんによう似た花が咲く。
色は花子の
花は花子のくちびるに、
ほんによう似た
花子の庭の
花が
花が
人目に見えぬ
薄い
花子のやうな声を出し、
花子のやうな
そして花子の留守の日は
涙をためた目を伏せて、
じつと
花の心のしをらしや、
それも花子に生き写し。
花子の庭の