おもひおもふ今のこころに分ち分かず君やしら萩われやしろ百合
いづれ君ふるさと遠き人の世ぞと御手はなちしは
花子の熊
雪がしとしと降つてきた。
小さい花子は縁に出た。
山に生れた
雪の降るのが好きであろ、
雪を見せよと縁に出た。
抱いた花子の温かい
優しい胸を喜んだ。
そして、花子の手の中で、
雪はますます降り
汗の流れる七月は
街の子供と同じよに
避暑地の浜の砂に来て
群れつつ薄い
花を摘まうと手を出せば、
これをも白い花と見て
ついと気軽に降りて来た。
思はぬ事の
花子の胸は
今
花子の指に止まつてる。