〔無題〕
しろがねの噴上の水に
仄かなる
あはれまた目にこそ浮べ、
若かりしわが盛り。
〔無題〕
君知るや、若き男よ、
日は晴れて静かなる海のかなしさ。
あはれまた君知るや、
涙しづかに流るゝを。
〔無題〕
夏のゆふべのおもしろさ。
夏のゆふべとなりぬれば
をみなの身こそうれしけれ。
鏡の前にうづくまり
うすく我が刷く
いとよきかをり身に
二階の屋根の物干に
街の灯を見るおもしろさ。