裾たるる紫ひくき根なし雲牡丹が夢の真昼(まひる)しづけき 紫のわが世の恋のあさぼらけ諸手(もろで)のかをり追風(おひかぜ)ながき 元日の歌 元日のこころは若し、 清々し、美くし、優し。 人すべて一つになりて、 微笑みて諸手(もろで)を繋ぐ。 商人(あきびと)も我等を責めず、 貧しきも富を憎まず、 盗人も盗みを忘れ、 囚人(つみびと)も今日は休らふ。 溢るるは感謝のおもひ、 太陽も讃めて拝まん。 みしめ縄、門(かど)の松竹(まつたけ)、 見る物に春の色あり。 霞みたる都のかたに 午砲(どん)のおと微かに響き、 打仰ぐ青き空には 紙鳶(いかのぼり)近く歌へる。