そら鳴りの夜ごとのくせぞ
ぬしえらばず胸にふれむの行く春の小琴とおぼせ眉やはき君(琴のいらへて)
願ひ
虹のやうな
光る衣物、
着いたいな。
鳩のやうな白靴、
穿きたいな。
天馬のやうな大馬、
青い馬、
乗りたいな。
みんなで着いたいな、
みんなで穿きたいな、
みんなで乗りたいな。
そして、みんなで行きたいな、
みんなで踊りに行きたいな。
お猿
お猿が出て来た、
負はれて出て来た。
お目をぱちくり[#「ぱちくり」に傍点]、
赤ん
お猿、手に持つ、
負はれた
ちよこなん[#「ちよこなん」に傍点]と降りた。
降りたお猿は
足もとふらふら[#「ふらふら」に傍点]、
狭い座敷を
斜めに歩るき、
舞ふかと
嬢さんの前で、
あれ、まあ、赤ン
いやなお猿。