よそほひし京の子すゑて
そのなさけ今日
いとせめてもゆるがままにもえしめよ斯くぞ覚ゆる暮れて行く春
春みじかし何に
庭の一隅
同じ囲ひのうちに
鶏のむれ、鵞鳥のむれ、
すでに食み終りて
猶も餌を待てり。
餌の無きにあらず、
彼等の目の見難きなり。
見よ、同じ囲ひのうちに
雀の
猶よく見よ、餌を運ぶ蟻は
今正に収穫の農繁期なり。
〔無題〕
飢ゑたひよ鳥も食べぬ
にがい、にがい
飢饉地の子供が其れを食べる。
わたしの今日此頃の心も
人知れず枳殻の実を食べる。
〔無題〕
唯一つ、
さし出した手は寂しい。
しかし、待て、
皆が、皆が、一斉に
手を伸ばす日は来ぬか。