たまはりしうす紫の名なし草うすきゆかりを歎きつつ死なむ
うき身朝をはなれがたなの
〔無題〕
たけ高きこと一丈、
鸞ならん、鳳ならん、
青き空より舞ひくだり、
そのくはへたる紫の花を
幾たびも我手に置きぬ。
昨夜の夢は是れなり、
かかる夢は好し、
覚めたる後も猶
燦爛として心光る。
〔無題〕
今日わしれども、わしれども、
武蔵の路の長くして、
われの車の窓に入る、
盛り上がりたる白き富士。
晴れわたりつつ、雲飛ばず。
見て行く萩の上にあり、
河原より吹く風のおと。