悲しき朝
河瀬の音が山に来る、 春の光は、石のやうだ。 筧(かけひ)の水は、物語る 白髪(しらが)の嫗(をうな)にさも肖(に)てる。 雲母の口して歌つたよ、 背(うし)ろに倒れ、歌つたよ、 心は涸(か)れて皺枯(しわが)れて、 巌(いはほ)の上の、綱渡り。 知れざる炎、空にゆき! 響の雨は、濡れ冠る! …………………………… われかにかくに手を拍く……