妹よ
夜、うつくしい魂は涕(な)いて、 ――かの女こそ正当(あたりき)なのに―― 夜、うつくしい魂は涕いて、 もう死んだつていいよう……といふのであつた。 湿つた野原の黒い土、短い草の上を 夜風は吹いて、 死んだつていいよう、死んだつていいよう、と、 うつくしい魂は涕くのであつた。 夜、み空はたかく、吹く風はこまやかに ――祈るよりほか、わたくしに、すべはなかつた……