![SONY 1 Mount](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/SONY-1-Mount-e1633304806675.jpeg)
皆さんこんにちは。
本格的なフルサイズミラーレス時代が到来し、Eマウント口径の小ささに由来する光学設計やメカ設計の制約で競合他社に付いていくのが厳しくなってきているソニーですが、このままではαはジリ貧となってミノルタの二の舞になるのは明らかです。
かつてオリンパスはカメラ女子ブームに乗って隆盛を誇り、売れたがゆえにマイクロフォーサーズマウントから引き返せなくなりフルサイズ化の機会を失い衰退していきました。
現在のαも全く同じ道を辿っており、売れてしまったために既に限界を迎えているEマウントに執着してしまい、少しずつ苦しい状況に追い込まれています。
もしもそれが分からないという初心者の方には今回の内容は少し難しいと思いますので、30年くらい勉強して詳しくなったらなった頃にまたお越し頂ければと思います。
逆に﹁Eマウントの将来が暗いなんて常識でしょ﹂という中級者以上の方は是非読み進めて頂ければ幸いです。
ところでソニーがコニカミノルタからカメラ事業を引き継いだのが2006年ですから、なんだかんだでソニーは15年間もレンズ交換式カメラを作ってきたわけです。そのソニーがミノルタの敗戦を繰り返したのでは可哀想ですよね?
そこで今回はソニーグループ109,700名の全従業員の誰よりもカメラに詳しい私が、ソニーの代わりにαの生き残り策を考えてあげることにしました。
目次
●αはここままでは確実に衰退する
●イメージセンサーのアドバンテージはもうない
●ソニーが抱える2つの問題
●Eマウントは規格として既に限界を迎えている
●Eマウントの手ぶれ補正に対する影響
●このままではαは確実にキヤノンに潰される
●αが生き残るただ一つの道はZマウントへの転換
●厚さ2mmのAFマウントアダプターが使える
●鏡筒を2mm伸ばすだけでZマウント版にリニューアル可能
●なぜ新マウントではなくZマウントなのか?
●真の狙いはEマウントユーザーを自然にZマウント版αに誘導すること
●お釈迦様が垂らすZマウントという蜘蛛の糸
●ソニーとニコンの関係性の修復が鍵
●ソニーは蜘蛛の糸をのぼりきれるか?
というわけで今回はαの生き残りのための方法を考えていきましょう。
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/FE-50mm-F1.2-GM-e1633454144320.jpg)
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過去の機種にグリップ側の余裕がもっとあれば、このような変な鏡筒の形状にする必要はなく、レンズ設計の自由度も上がるのですが今更どうしようもありません。
こうした設計上の制約は最初のうちは創意工夫でなんとかなるのですが、年を追うごとにそのハンデは誤魔化しきれなくなっていきます。アイデアは無限には出ないので、最初から条件が有利な規格にしておくことが重要です。
以前ソニーは一眼レフのAマウントの延命策として、かつてのペリクルミラーの焼き直し︵ソニーは否定するでしょうが、光を光学ファインダーに分離しようが位相差AFセンサーに分離しようが、アイデアの元がペリクルミラーであったことは明らかです︶の﹁トランスルーセントミラー﹂というアイデアを出してきました。
しかしトランスルーセントミラーによってAマウント機はEVF化してしまったため、結果的には﹁光学ファインダーを捨てるなら、尚更ミラーレスのEマウントでいいよね﹂となってしまい、見る人が見れば、トランスルーセントミラーというアイデアが返って﹁Aマウントには将来性がない﹂ということを浮き彫りにしてしまいました。
同様にEマウントの規格の問題をアクロバティックな方法でカバーすること自体、Eマウントの口径が小さいことがハンデになっているということの証明になってしまうわけです。
Eマウントはフルサイズセンサーを搭載するレンズマウントとしてはかなりの小口径であることでも有名ですが、フルサイズセンサー対応の各社のミラーレスマウントのマウント内径とフランジバックを比較すると以下ようになります。
■αはこのままでは確実に衰退する
イメージセンサーのアドバンテージはもうない
αと言えばイメージセンサーの技術力を核にして、近年カメラ業界でもっとも業績を伸ばしたメーカーであったことは間違いありません。 ミラーレスというシステムとソニーの高いイメージセンサー開発の技術は非常に親和性が高かったため、ミラーレス化の波と、いち早くフルサイズミラーレスを発売したことからソニーは急速に躍進しました。 しかしその風潮も終わりつつあります。競合メーカーがフルサイズミラーレスのノウハウを急速に習得し、ソニーのイメージセンサーや画像処理のアドバンテージは無くなってしまいました。 キヤノンであればEOS R5やEOS R3、ニコンはZ 9と、もうαと比較して見劣りしない、それどころかα以上のスペックを持った機種が次々と登場し始めました。 丁度今年2021年がその転換点であり、2022年以降はカメラファンの目にも見える形で徐々にカメラファン層のソニー離れが感じられるようになるでしょう。 それらが実際に数字に表れるのは、2023-2024年のBCN AWARD︵2022年や2023の年間シェア動向は翌年に発表されるため︶などになるのでしょうが、感性の鋭いカメラファンには既にソニーの凋落の始まりを感じられるはずです。ソニーが抱える2つの問題
カメラメーカーは各社それぞれに弱点を抱えているのですが、ソニーの問題は大きく2点、 (一)撮影に対する理解 (二)マウント径の限界 この2つです。 実用性︵とせいぜい嗜好性まで︶こそカメラの本来の評価基準であるべきだと思いますが、その﹁実用性﹂を高められるかどうかの根本にあるのが、1の﹁撮影に対する理解﹂なのです。 これは開発陣に実際に撮影経験を積んでもらうしかありません。﹁プロフォトグラファーの意見を聞く﹂というのは良くありますが、あれは案外効率が悪いもので、フォトグラファーというのは撮影のプロであって、カメラのどこをどうして欲しいということを言語化することがあまり得意ではありません。 撮影することがフォトグラファーの仕事ですから、どうやったら上手く撮れるかは考えていても、意識的にカメラの改善点を考えているわけではないので、自分がなんとなく感じていることを上手く言葉で表現できないフォトグラファーの方がずっと多いのです。 また話上手な講師系のカメラマンに話を聞いても、彼らはリアルな商業フォトグラファーではないため撮影の現実に根差さないカメラマニアと同じようなことしか言いません。カメラグランプリの審査員が馬鹿なことしか言わないのと同じです。 なのでリアルなフォトグラファーの感じていることを上手く引き出して聞く能力がないのであれば、開発者がプロフォトグラファーと﹁同じ環境で﹂実際に撮影してみた方が早いでしょう。 旅行のついでに観光地で風景写真撮ってみたとか、子供の運動会で使ってみたとかダメですからね。本当にそういう開発者いますけど。 しかし結局ソニー開発陣はそんな本気の撮影はやらないと思います。 自分で撮影をしないから、α9 IIやα1のようなどう見てもスポーツフォトグラファーに適した操作系になっていないカメラをスポーツ撮影用のプロ機として発売し、オリンピックでキヤノン・ニコンに返り討ちにされてしまったわけです。 写真展などを開催して来場者の方と話をしてみると﹁実はキヤノンでカメラ作っています﹂とか﹁ニコンでカメラ作っています﹂という人と割と会うことがあります。また以前開催していた写真教室にもキヤノンやニコンの開発者の方が参加されていました。もちろん休みの日に趣味で。 彼ら彼女らは大きなものは勿論のこと小さな写真展まで休みの日に見て回っており︵今日はあともう1カ所写真展を観ににいく予定ですとか本当に言いますからね︶、写真への理解を深めようとしています。おそるべき情熱です。 ちなみにソニーの人が写真展や写真教室に来てくれたことは1度もありません︵たまたま名乗らなかっただけかもしれませんが、実際来ていないのでしょう︶。 キヤノンやニコンに﹁開発者も写真を見に行くべき﹂という企業文化があるというのは流石カメラメーカーと感心させられます。 カメラ開発者も写真展などに足を運ぶのは意味があることで、近年はカメラが高性能化するにつれ、各分野の専門性が高まり、分業化が激しくなったためカメラの全体像を理解している開発者が減ってしまいました。 色々なカメラメーカーの開発者と話すと、今のメーカーには﹁自分が担当しているところと、それに関連するところには凄く詳しいけれど他のところはさっぱり﹂という開発者がとても増えています。 専門性が高まることは悪いことばかりではありませんが、細部のプロだけでなく、カメラの全体像を把握できる幅広い知識を持った人材がいないと最終的に良いカメラにはなりません。そのためには自分で写真を撮ってみたり人の写真を見て撮り方を学ぶということはとても意味あることなのです。 カメラがどう使われるのかに精通していなければ、どういうカメラを作るべきかなんて分かるわけがないでしょう? しかしソニーにはスチールカメラの在り方を体系的に理解している人がいないんだと思います。 逆にシネマカメラのような業務用動画機になるとソニーは水を得た魚のように急にリアリティのある機種を出してくるのですが、ああいうのを見ると、やっぱりソニーはムービーカメラのメーカーなんだなと感じます。 しかし動画需要だけを対象にしていてはαは生き残れません。それはパナソニックが反面教師として既に証明しており、動画需要だけに応えるカメラ作りでは、機種単体で売れることはあってもカメラメーカーとしては生き残れないため、ムービーに極端に傾倒してはダメなので、スチールを基本としつつムービーを両立させるカメラでなければ上手くいきません。 かといって元々がカメラメーカーではないソニーの開発陣に﹁写真を撮れ﹂とか﹁写真を鑑賞しろ﹂と幾ら言ったところで、企業文化としてそうした意識が育つことは今後もないと思います。そもそも写真に大して興味がない人たちが集まってきている会社なのですから。 ですからαの場合は機材マニア向けの﹁スペック一点突破﹂しか売る方法がないのですが、一般の人の多くが﹁スマホで十分﹂という時代においては、レンズ交換式カメラの購入者にはαのような﹁スペック自慢のためのカメラ﹂があっても良いのかもしれません。これは嫌味ではないですよ。 ライカが物としての良さをアピールする嗜好品であるならば︵ライカの場合は実際撮っても写りは凄いのですが︶、ソニーはスペックの凄さで売る嗜好品として成立するのかもしれないという意味です。ソニーが必要とする規模はライカとはかなり違うので商業的に成立するかどうかは微妙ですが。 しかしそのスペックを向上させていく上でも、αには足かせとなる大きな問題があります。Eマウントは規格として既に限界を迎えている
その足かせとなってくるのがEマウントです。 ところで最近ソニーはスチールカメラからシネマカメラまでEマウントで統一されていると言う意味で︵実際はEマウントではない機種もありますが︶﹁1 Mount﹂という言葉を強調しています。 もう公式サイトにもカメラボディにAマウントボディは掲載されていませんから、既に﹁Aマウントは無かったことにされている﹂ようです。 Aマウントはもう救いようがないことは誰の目にも明らかなので自然消滅するのは仕方ないと思いますが、問題はEマウントも既に時代遅れの規格になっているという点です。 もはやEマウントは﹁フルサイズ版マイクロフォーサーズ﹂と言って良いくらい将来性が無いのは明白です。 ソニーは﹁Eマウントが小口径であることは問題ない﹂と主張していますが、そんなものはどう見てもただの強がりであり、もしもソニーの開発者がEマウントの設計当時にタイムトラベルできたなら、絶対に口径を大きく設計し直すはずです。 また後のフルサイズ用レンズとのグリップとの干渉を防ぐためにもNEX-5とNEX-3の横幅も広げるでしょう。 Eマウント機は過去に小型化を過剰に追求しすぎてマウントとグリップの間に十分なスペースを確保できていない機種を幾つも発売してきたために、レンズの互換性を保とうとすると、Eマウントレンズはずっと鏡筒のマウント付近を絞り込まなければならなくなりました。 つまり、右手のグリップしている指とレンズ鏡筒の根元が干渉しないようにしようとすると、鏡筒を細いまま一旦前に出さなければいけないという制約があるため、メカ設計がしにくくなってしまっているわけです︵これは光学設計の話ではなくレンズのメカ設計の話です︶。![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/FE-50mm-F1.2-GM-e1633454144320.jpg)
マウント名 | マウント内径 | フランジバック |
ニコンZ | 55.00mm | 16.00mm |
キヤノンRF | 54.00mm | 20.00mm |
ライカL/パナソニックL | 51.60mm | 20.00mm |
ソニーE | 46.10mm | 18.00mm |
こう見てみると、Eマウントの内径は他のマウント比較して極端に小さいことが改めてわかります。
フルサイズセンサーの対角長は43.2mmですから、ソニーEマウントはフルサイズセンサー自体は入るわけですが、実際にはマウント内径といっても、
●バヨネットマウントの爪
●電子接点
などがあるため、かなりギリギリのサイズとなっています。
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/65097b5e3224b071fde4b3af4cf48b06-e1633172078650.jpg)
画像引用‥Amazon︵https://amzn.to/3ir7 w5U︶
このように、イメージセンサーの四隅はもう爪の部分にかかってしまっています。
とはいえαはボディ内手ぶれ補正も一応実現していますし、FE 50mm F1.2 GMのような大口径レンズも発売しており、マウント径が小さいからと言って、ボディ内手ぶれ補正や一般的な大口径レンズ自体が作れないというわけではありません。
しかしEマウントがレンズの設計上の大きなハンデを負った状態であることは疑いのない事実ですから、その点はソニーの開発陣がなんと言おうが、ただの強がりに過ぎません。
このマウント径の問題は一眼レフではよくニコンFマウントに対して言われたことですが、実際はニコンがキヤノンに長い間対抗し続けたからこそ﹁EFで早い段階でマウントを電子化したキヤノンは先見の明があった﹂と言われるだけで、他のメーカーはニコンのようにキヤノンに付いていくことさえ出来なかったわけです。
つまり途中様々な仕様の変更が何度もあったとはいえ、Fマウントはミラーレスが主流になるまで結局60年以上も一線で活躍してきたわけで、やはりFマウントはとてつもなく偉大なマウントであり、ライカMマウントと並ぶ﹁レンズマウントの金字塔﹂と呼ぶに相応しいマウントでありニコンの技術者たちは偉大でした。
Fマウントはなんだかんだで長い一眼レフ時代を乗り切ったのですから。
それと比較して2006年にαを引き継いで、事実上たった4年でAマウントを捨てたソニーの技術者たちが、この先どうやってEマウントの大きなハンデを背負ったままRFマウントやZマウントに付いていくというのでしょうか?
到底不可能だと思います。
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/65097b5e3224b071fde4b3af4cf48b06-e1633172078650.jpg)
Eマウントの手ぶれ補正に対する影響
また光学設計だけでなく手ぶれ補正などの機能面も同様で、他社では既に7.5段や8.0段分という超強力な手ぶれ補正も実現しているメーカーもあるわけですが、αの場合は最大で5.5段分となっており手ぶれ補正の効きも他社と比較して弱いと言われています。 以下はドイツのカメラ雑誌に掲載された、各メーカーフルサイズミラーレス機の手ぶれ補正効果の検証テストの結果です︵※いずれも各社純正の70-200mm/F2.8のレンズを使用しています︶。EOS R5 | Z 7II | LUMIX S1R | α9 II | |
公称8.0段分 | 公称5.0段分 | 公称6.5段分 | 公称5.5段分 | |
1/200秒 | とても良い | とても良い | とても良い | とても良い |
1/100秒 | とても良い | とても良い | とても良い | とても良い |
1/50秒 | とても良い | とても良い | とても良い | とても良い |
1/25秒 | とても良い | とても良い | とても良い | 良い |
1/13秒 | とても良い | とても良い | とても良い | 良い |
1/6秒 | とても良い | とても良い | とても良い | ブレている |
1/0.3秒 | 良い | とても良い | 良い | ブレている |
1/0.6秒 | 良い | とても良い | 許容範囲 | ブレている |
1秒 | 許容範囲 | 良い | 許容範囲 | ブレている |
1.3秒 | 許容範囲 | ブレている | 許容範囲 | ブレている |
1.6秒 | 許容範囲 | ブレている | ブレている | ブレている |
2秒 | ブレている | ブレている | ブレている | ブレている |
公称8.0段分の手ぶれ補正効果となっているEOS R5が1/0.6秒までが﹁良い﹂で1.6秒まで﹁許容範囲﹂という補正効果を発揮しています。﹁許容範囲﹂までを含めればトップの成績、﹁良い﹂まででは2位となっています。
公称値は5.0段分と控えめなZ 7IIは﹁とても良い﹂と﹁良い﹂までであればトップの成績となっており、ニコンらしい公称値以上の素晴らしい実力を発揮しています。こういうところは﹁流石ニコン﹂としか言いようがありません。
LUMIX S1Rは公称値通りといった実力を発揮していると言えるでしょう。
対してα9 IIは公称の手ぶれ補正の効果ではスペックではこの中で3位ですが、実写テストにおいては最下位と、他社機と比較してかなり見劣りする結果となっています。しかもこの中でα9 IIは最も高価な機種です。
このテスト自体は機種固有の性能やテスト環境も影響している可能性があるのでそこまで気にする必要はありませんが、手ぶれ補正効果が7.0段を超えるようなレベルになってくると、レンズ側補正とボディ側補正の高度な協調制御が必要になってきます。
しかし当然手ぶれ補正も協調動作時にマウント径の物理的な制約を受けますから、Eマウントで今後手ぶれ補正効果を大きく上げられるのは、かなり限定された焦点域のレンズだけです。
ソニーの開発陣も今の所はなんとか光学性能の面では大きな差をつけられないように頑張っていますが、手ぶれ補正に関しては既にマウント径の問題が影を落としています。
これらの光学設計・メカ設計の制約はEマウントにずっと付きまとう逃れられない問題であり、αの開発陣は常にその問題と戦いながら開発しなければなりません。
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/11/RF5.2mm-F2.8-L-DUAL-FISHEYE-e1635538412355.jpeg)
画像引用‥価格コム︵https://news.kakaku.co m/prdnews/cd=camera/ctcd=1050/id=111406/︶
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/RF5.2mm-F2.8-L-DUAL-FISHEYE-EOS-VR-SYSTEM-02-e1635699545338.jpeg)
画像引用‥Canon︵https://cweb.canon.jp /eos/rf/lineup/rf52-f28l-dfe/eos-vr.html︶
RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYEはプロ用の特殊なレンズですから、カメラボディのシェアに大きな影響を及ぼすようなものではないのですが、キヤノンだけでなくニコンもZマウントは光学設計の面で非常に有利なマウントであるため、キヤノン同様にEマウントでは実現できないようなレンズや機能を開発してくる可能性があります。
そうした時、Eマウントは一度他社の後塵を拝すれば、その差は広がる一方で二度とキヤノンやニコンに追いつけなくなります。
カメラボディに関しても先日発表されたEOS R3とZ 9によって、ミラーレスでもあっという間にソニーは2社に抜かされてしまいました。
結局キヤノンとニコンが本気でミラーレスに注力し始めると、わずか3年しかもたなかったわけです。
![Canon EOS R3/キヤノン EOS R3 01](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2023/09/765b122ea9f68b6b93c39ad23459cc4f.jpeg)
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2025/10/Z-9-01-e1635425132207.jpeg)
画像引用‥Nikon︵https://www.nikon-ima ge.com/products/mirrorless/lineup/z_9/︶
それにしてもEOS R3の発想とクオリティを見るに、キヤノンには化け物級の天才がいるというのが分かります。またニコンにも凄まじいレベルの開発者がいることは一目瞭然です。
出てくるカメラやレンズを見れば、そのメーカーにどういうレベルの開発者がいるかは大体察しがつくもので、EOS R3やZ 9のような機種は、とんでもない次元でカメラと撮影を理解していなければ作れません。
結局のところ、同じジャンルで本気を出し合ったら、
●EOS-1D X Mark III︵EFマウント︶
●D6︵Fマウント︶
●α99 II︵Aマウント︶
これが、3社の技術者の到達点であるわけで、同じことがミラーレスでも起こるだけです。
そのためソニーは正面から﹁写真を撮る道具としての出来﹂でキヤノンやニコンと戦っても勝ち目はありません。相手は本物のカメラ作りの天才なので、手を結ぶしか生き延びる道はないのです。
このままではαは確実にキヤノンに潰される
そうしたEマウント規格の限界や制約を他社の開発者たちも熟知していますから、Eマウントに作れない︵作りづらい︶レンズや機能を重点的に開発してくるでしょう。 例えば先日キヤノンが発表した3D VR撮影用のレンズであるRF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYEなどは、構造上鏡筒部分の根元が太くなってしまうために、グリップとレンズのスペースが狭いEマウント機では少なくとも同じような構造では作れません。![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/11/RF5.2mm-F2.8-L-DUAL-FISHEYE-e1635538412355.jpeg)
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/RF5.2mm-F2.8-L-DUAL-FISHEYE-EOS-VR-SYSTEM-02-e1635699545338.jpeg)
![Canon EOS R3/キヤノン EOS R3 01](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2023/09/765b122ea9f68b6b93c39ad23459cc4f.jpeg)
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2025/10/Z-9-01-e1635425132207.jpeg)
■αが生き残るただ一つの道はZマウントへの転換
αが生き残るにはZマウントにすがるしかない
そこで今回の本題、﹁どうすればEマウントは生き残れるのか?﹂という話になるですが、それがZマウントアライアンス︵ニコンとの提携︶です。要するに、αはEマウントをやめてニコンZマウントに参加させてもらうしかありません。 ソニーファンの方々はZマウント︵というかニコン自体︶を落ち目のと思っている人もいるようですが、とんでもない勘違いで、まだポテンシャルの半分も出していないZマウントと、既に伸び代がないEマウントでは将来性が全く違います。 カメラ全体のことを考えれば、必ずしもマウント径は大きければ大きいほど良いとか、フランジバックは短ければ短いほど良いというものではありません。 しかし光学設計においてはマウント径が大きいことやフランジバックが短いことは有利ですし、Eマウントの場合はメカ設計においてさえハンデを負っていることは先に書いた通りです。 マウントの規格においてRFマウントやZマウントは﹁Eマウントよりほとんど何もかも上﹂と言って差し支えありません。 そのためこのままEマウントを続けていれば、αは必ず行き詰まってジリ貧になるだけです。 Eマウントの問題を解決するだけであればソニー独自の新マウントを作るという選択肢もあるわけですが、新マウントではなくZマウントにした方が生き残れる可能性は高いでしょう。厚さ2mmのAFマウントアダプターが使える
﹁なぜ新マウントではダメなのか?﹂を説明する前に、受け皿としてZマウント以外の選択肢がない理由を先に説明しておきます。 これは多くの人がもう知っていることと思いますが、先ほどのこの表を見て頂ければ分かるように、フランジバックがEマウントよりも短いフルサイズ対応のミラーレスマウントはZマウントしかありません。マウント名 | マウント内径 | フランジバック |
ニコンZ | 55.00mm | 16.00mm |
キヤノンRF | 54.00mm | 20.00mm |
ライカL/パナソニックL | 51.60mm | 20.00mm |
ソニーE | 46.10mm | 18.00mm |
つまりαが仮にLマウントアライアンスなどに参加しても、マウントアダプターが使えないため、これまでのEマウントレンズは無駄になってしまいます。
それに対して、ZマウントはEマウントよりもフランジバックが短いため、マウントアダプターでEマウントレンズを使うことが可能です。
既にEマウント→Zマウントのマウントアダプターは発売されており、TECHART TZE-01などはAFで動作する電子接点付きのマウントアダプターです。
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/3717bf6fe9bb09824e745993d6052daf-e1633203582392.jpeg)
画像引用‥Amazon︵https://amzn.to/3uGE PXJ︶
つまりZマウントであれば、厚さたった2mmのマウントアダプターでEマウントレンズをAFで使えるわけです。
なぜこのようなことが可能になっているかというと、Zマウントは内径がフルサイズミラーレス機の中で最大の55.0mmとEマウントよりも9mm近くも大きくなっているため、Eマウントレンズを付けてもマウント内側に余剰スペースがあるために、そこに電子部品やロック機構を配置できるため、極薄のAFマウントアダプターを作ることが可能になっているわけです。
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/TECHART-TZE-01-05-e1633480556810.jpeg)
画像引用‥Amazon︵http://www.stkb.jp/s hopdetail/000000001281/︶
他にもEマウントレンズ→ZマウントボディのAFマウントアダプターとしては、Megadap ETZ11などもあります。
Megadap ETZ11の特徴としては、
●Eマウントレンズの電子コントロール、AF撮影が可能
●APS-Cフォーマットのレンズにも装着可能
●レンズ内の手ブレ補正機構に対応
●ボディ内手ブレ補正機構に対応
●ソニーGM、ツァイスLOXIA、フォクトレンダーVEなどの絞りリング操作対応
●マニュアルフォーカスのEマウントレンズで撮影可能
●焦点距離や露出などのExif情報も記録
●顔検出や瞳AFにも対応
●アダプターのファームウェアアップデートが可能
となっており、EマウントレンズをほぼフルスペックでZマウント機で使用することが可能です。
まさに、ZマウントはEマウントをマウントアダプターで装着するのに最適な規格となっているわけです。
とは言え当然サードパーティーのマウントアダプターメーカーは通信プロトコルをソニーとニコンから開示してもらっているわけではありませんから、リバースエンジニアリングによってAF駆動を実現しているわけです。
そのため動作に不安定さもあれば、最速のAF駆動が出来るわけでもありません。そこでαがZマウントに移行する際には﹁ソニー純正のE→ZのAFマウントアダプター﹂を発売すればより確実です。
またその際は利益を度外視して、最初の数年は純正のE→Zマウントアダプターを破格の値段で出せばEマウントユーザーのZマウント版αへの移行もスムーズに進むでしょう。
なにせ厚さたった2mmですし、サードパーティー製メーカーのようにマウントアダプターを主張するデザインや色にして存在感を示す必要もありませんから、ソニー純正のAFマウントアダプターはEマウントレンズと同じブラック塗装を施せばほとんど違和感がありません。レンズがEマウントレンズであることを知らなければ、マウントアダプターの存在すらパッと見ではわからないでしょう。
まさにZマウントはEマウントにとって唯一にして最高の受け皿となれるマウントというわけです。
そしてその後はαのボディとレンズをZマウントで開発していくだけで、既存のEマウントレンズは無駄にならず、かつマウント径の問題も一挙に解決します。
一部のEマウントレンズは制限が生じる場合もあるかと思いますが、それも一時的なもので、アライアンスを組めば当然ニコンもソニーもその後はお互いのレンズは相互に使えるようにボディもソフトウェアも設計するわけですから快適に使えます。
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/NIKKOR-Z-24-70mm-f2.8-S-e1633634439628.jpeg)
画像引用‥Nikon︵https://www.nikon-ima ge.com/products/nikkor/zmount/nikkor_z_24-70mm_f28_s/︶
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/FE-24-70mm-F2.8-GM-e1633634419188.jpeg)
画像引用‥価格コム︵https://img1.kakaku.k- img.com/images/productimage/fullscale/K0000857120.jpg︶
こう見ると、むしろニコンのNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sの方が、αに似合いそうです。
TECHART TZE-01使用例︵シルバーの部分がマウントアダプター︶
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/3717bf6fe9bb09824e745993d6052daf-e1633203582392.jpeg)
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/TECHART-TZE-01-05-e1633480556810.jpeg)
鏡筒を2mm伸ばすだけでZマウント版にリニューアル可能
また、シグマがやっていたような一眼レフマウント用のレンズの鏡筒を伸ばしてミラーレスのフランジバック長に合わせてレンズにリニューアルするのと同じ方法で、比較的容易にこれまでのEマウントレンズも、人気のあるレンズは鏡筒を延長してZマウントにすることで、既存のEマウントレンズをマウントアダプター無しで使えるZマウントレンズに作り直すことが可能です。 しかも一眼レフ用のレンズをミラーレス用に鏡筒を延長するのとは異なり、フランジバックの差はわずか2mmですから、とても自然な形でZマウント版に変更することが出来ます。なぜ新マウントではなくZマウントなのか?
ここまで話した理由だけであれば、﹁Zマウントにしなくても、フランジバックが18mmより短く、かつマウント径を大きくした、Eマウントに変わるソニー独自の新マウントを開発して、マウントアダプターでEマウントレンズに対応する方法もあるのではないか?﹂と思われるでしょうし、それは自然な発想です。 しかしαがZマウントに参加することには新マウント以上のメリットがあります。 ソニー独自の新マウントを開発すると言っても、当然新マウントの開発にはかなりの時間を要します。 かつてEマウントは散々﹁ソニーはレンズが少ない﹂というセールストークで、マイクロフォーサーズ陣営に見込み客を奪われていた時代がありました。ソニーはその時代の苦労を十分知っているはずです。 だからこそ現在は逆にソニーはキヤノン・ニコンなどに対して﹁フルサイズミラーレスのレンズラインナップではEマウントが最多﹂ということを売り文句にしているわけですが、ここで新マウントにしたらどうなるでしょう? 新マウントの発売出だしから、主要レンズをフルラインナップするなどということは到底不可能です。 再び﹁ソニーはレンズが無い﹂と言われ続けることになりますし、幾ら目立たず厚さもないと言っても、マウントアダプターを付けての使用はレンズ交換式カメラの主流の使い方にはなりません。 ﹁マウントアダプターを使えば従来のEマウントレンズも使えます﹂というのは、既存のαユーザーには有効ですが、新規にレンズ交換式カメラの購入を考えている一般層に対しては、そもそも﹁マウントアダプターってなんですか?﹂という人もいるわけで、そんなややこしい︵と一般の人には感じる︶方法を案内したところで響かないのです。 やはりレンズラインナップの本数の比較はマウントアダプター無しで取り付けられる、そのマウントの専用設計レンズしか数として認めてくれないのが現実です。 しかし新マウントの専用レンズをコツコツ作っている間にキヤノンは遥か先に行ってしまって、背中も見えない状態になってしまうでしょう。 キヤノンはRFマウントで主要なレンズを超広角から大口径超望遠レンズまで既にラインナップしており、RFマウント誕生からわずか3年でアマチュアからプロまで対応出来るレンズを揃えてしまいました。あと必要なのはアオリレンズやマニア向けの一部の単焦点くらいとなっており、その開発力はやはり驚異的です。 これが更に数年後ともなれば、ライトユーザーからプロフォトグラファーまで、あらゆる層に対応したボディとレンズをラインナップし終えているでしょうから、そうなってからソニーが新マウントを立ち上げても勝負になりませんし、それに加えてソニーはニコンとも戦わなければなりません。 つまり、ソニー独自の新マウントを立ち上げるという方法は2021年の今すぐ新マウントを出せるならまだしも、数年後にやっても時すでに遅しとなってしまい無意味というわけです。 しかしこれがZマウント版αであればどうでしょう? Zマウント版αを開発している間にもニコンはZマウントレンズを開発してくれるわけですから、Zマウント版αの新機種は、発売した瞬間にレンズライナップが豊富に揃った状態となるわけです。 もちろんNIKKOR Zは正式にアライアンスを組んでいるメーカーのレンズですから、マウントアダプターが必要無いばかりでなく、動作上の心配やAF速度も問題ありません。 2021年10月現在のフルサイズ対応NIKKOR Zレンズは20本、つまりニコンは2018年のNIKKOR Z発売から年約7本程度のペースで新しいZマウントレンズを発売しています。 仮に2024年に初代Zマウントαを発売すると、その時点でNIKKOR Zは40本以上になっている計算になります。 つまりZマウント版αボディは、初代機を発売した瞬間に40本以上もの純正レンズがラインナップされた状態で立ち上げることが出来るわけです。 さらにそれまでに発売されたEマウント用レンズも厚さたった2mmの﹁ソニー純正AFマウントアダプター﹂で使えるわけですから、新マウント立ち上げ時に常につきまとうレンズラインナップが弱いという問題は全く起こりません。 またご存知のようにNIKKOR Zのフルサイズ用レンズは、描写性能において、すこぶる評判の良いものばかりです。 加えてNIKKOR ZレンズのデザインはFEレンズのデザインと近く、αのボディとの親和性も高いため、Zマウント版αにおいても、NIKKOR Zはデザイン面でも違和感なく使えるでしょう。NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
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FE 24-70mm F2.8 GM
![](https://a-graph.jp/wp-content/uploads/2021/10/FE-24-70mm-F2.8-GM-e1633634419188.jpeg)