女性へ 1
著者:岸田 國士 読み手:村田 いずみ 時間:3分8秒
私はこの事変以来、全日本の女性の祈願を日夜、胸の底に聴き、彼女たちが、歴史上いまだかつて見ないこの民族の大試煉に堪へる力のみが、やがて祖国日本を救ふであらうと固く信じてゐるのである。
一国の政治が男子の手に委ねられてゐるといふ見方からすれば、女性は悉く被治者の地位に立つものゝやうであるけれども、さういふ意味の政治は、今日誰の眼にも行きづまりが感じられ、日本は将にかゝる政治の支配から立ち直らうとしてゐるのである。すなはち、万民翼賛の新政治が、われわれの大きな希望をはらんで生れ出ようとしてゐる。
小は一家の雰囲気から、大は社会の風潮に至るまで、女性のこまやかな心情を以て、これを﹁あるべき姿﹂に導くことは、・・・