おもしろい話
著者:畔柳 二美 読み手:成 文佳 時間:10分35秒
私は、北海道で生れて、北海道で育ち、二十才をすぎてから上京して、三十代を関西で送った。私の父は東北出身だったので、東北のズーズー弁と、北海道生れの、やや標準語に近い母の言葉を手本に私は成長した。私の父は、たいていの品物の下に﹁こ﹂をつけて話した。
例えば、﹁あそこの娘っこは、いい娘っこだが、まだ、こつこの犬っこをいじめているようでは、本当のいい娘っことは、いえないな﹂
たいへん機嫌のいい時など、父は、こんなふうに云った。北海道では、父と同じように﹁こっこ﹂という言葉はあるが、つづけて、﹁娘っこ、こつこ﹂とは云わないので、私たちは、そんなときには腹をかかえて笑った・・・