クリスマスの贈物
著者:竹久 夢二 読み手:渡邊 明美 時間:8分26秒
﹁ねえ、かあさん﹂
みっちゃんは、お三時のとき、二つ目の木の葉パンを半分頬ばりながら、母様にいいました。
﹁ねえ、かあさん﹂
﹁なあに、みっちゃん﹂
﹁あのね、かあさん。もうじきに、クリスマスでしょ﹂
﹁ええ、もうじきね﹂
﹁どれだけ?﹂
﹁みっちゃんの年ほど、おねんねしたら﹂
﹁みっちゃんの年ほど?﹂
﹁そうですよ﹂
﹁じゃあ、かあさん、一つ二つ三つ……﹂とみっちゃんは、自分の年の数ほど、テーブルの上に手をあげて、指を折りながら、勘定をはじめました。
﹁ひとつ、ふたあつ、みっつ、そいから、ね、かあさん。いつつ、ね、むっつ。ほら、むっつねたらなの? ね、かあさん﹂
﹁そうですよ。むっつねたら、クリスマスなのよ﹂
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