ラプンツェル
著者:グリム兄弟/中島 孤島 訳 読み手:中川 ミリー 時間:13分14秒
むかしむかし夫婦者があって、永い間、小児が欲しい、欲しい、といい暮しておりましたが、やっとおかみさんの望みがかなって、神様が願いをきいてくださいました。この夫婦の家の後方には、小さな窓があって、その直ぐ向うに、美しい花や野菜を一面に作った、きれいな庭がみえるが、庭の周囲には高い塀が建廻されているばかりでなく、その持主は、恐ろしい力があって、世間から怖がられている一人の魔女でしたから、誰一人、中へはいろうという者はありませんでした。
或る日のこと、おかみさんがこの窓の所へ立って、庭を眺めて居ると、ふと美しいラプンツェル︵︵菜の一種、我邦の萵苣︵チシャ︶に当る。︶︶の生え揃った苗床が眼につきました・・・