田舎のお母さん
著者:小川 未明 読み手:梨本さん 時間:7分36秒
奉公をしているおみつのところへ、田舎の母親から小包がまいりました。あけてみると、着物がはいっていました。そして、母親からの手紙には、
﹁さぞ、おまえも大きくなったであろう。そのつもりでぬったが、からだによくあうかどうかわかりません。とどいたら、着てみてください。もしあわないようでしたら、夜分でもひまのときに、なおして着てください。﹂と、書いてありました。
おみつは自分のへやにはいって、お母さんからおくってきた着物をきてみました。田舎にいるときには、お正月になってもこんな着物をきたことがなかったと思いました。自分だけでなく、村でもこんな美しい着物をきる娘は、なかったのであります・・・