どじょうと金魚
著者:小川 未明 読み手:菅野 秀之 時間:2分23秒
ある日、子供がガラスのびんを手に持って、金魚をほしいといって、泣いていました。すると、通りかかったどじょう売りのおじいさんが、そのびんの中へ、どじょうを二匹いれてくれました。
子供は、喜んで、びんに顔を押しつけるようにして、ながめると、ひげをはやして、こっけいな顔に見えるどじょうは、
﹁坊ちゃん、あのきれいなばかしで、能のない金魚よりは、私のほうがよっぽどいいのですよ。ひとつ踊ってみせましょうか?﹂といって、一匹のどじょうは、びんの底から水の上まで、もんどり打って、こっけいな顔を表面へだし、またびんの底に沈みました。
子供は、いままで、どじょうをばかにしていたのは、まったく自分の考えがたりなかったのだと知りました・・・