夜
著者:竹久 夢二 読み手:渡邊 明美 時間:3分28秒
日が暮れて子供達が寝床へゆく時間になったのに、幹子は寝るのがいやだと言って、お母様を困らせました。
﹁さあ、みっちゃんお寝みなさいな。雛鳥ももうみんな寝んねしましたよ﹂
お母様は、幹子に寝間着を着せながら仰言いました。
﹁みっちゃんが夕御飯たべてる時に、親鳥が コ コ コ って言って雛鳥を寝かしていましたよ﹂
﹁だってあたし眠くないんですもの﹂
﹁山の小鳩も、もう親鳩の羽根の下へ頭をかくして コロ コロ コロ お休みって眠りましたよ﹂
﹁だってあたし眠くないの﹂
﹁赤い小牛は小屋の中で、羊の子は青い草の中で寝しましたよ﹂・・・